【速報】和歌山・白浜町の海で“水難事故を偽装”し妻殺害 夫側の控訴を棄却 2審も懲役19年判決「犯人性の結論に誤りはない」妻と不倫相手との間で“板挟み”の状態 保険金得る目的も 大阪高裁
被告側が控訴 控訴審でも複数回の審理
この判決を不服として、野田被告側は大阪高裁に控訴していました。 控訴審でも複数回の審理が行われ、志帆さんの胃の中から砂が見つかった点について、改めて検討が重ねられてきました。
和歌山地裁の判断過程の一部を不合理と指摘
3月4日の判決で大阪高裁(齋藤正人裁判長)は、和歌山地裁が志帆さんの胃の中から「30グラム以上」の砂が見つかったとした点については、砂が保存されておらず、吸引処置の再現実験の正確性に不安もあるとして、「砂の量を具体的に認定すること自体に無理がある」と断じました。 その上で、砂など物的証拠の面からは、「事故や自殺の可能性を完全に排除できず、他殺の可能性が相対的に高いと言えるに留まる」と指摘。和歌山地裁が野田被告による殺害と断定した判断過程の一部を、不合理だと指摘しました。
“相矛盾する約束が露見する絶対絶命の状況” “計画に完全に符合” 改めて野田被告による殺害と断定
しかし、大阪高裁は、事件前後の野田被告を取り巻く状況や、被告のインターネットでの閲覧・検索履歴を重視しました。 事件の前年=2016年から志帆さん以外の女性と交際し、2017年4月にはその女性の妊娠が判明。被告の両親が不倫をやめるよう説得したにもかかわらず、その女性と ▽モデルハウスを見学したり ▽ハワイへの“新婚旅行”を申し込んだり ▽指輪を見るためにジュエリーショップを訪れたり するなど、その女性との新生活を一貫して強く望んでいたと指摘。 その上で、女性とのプリクラ写真などが志帆さんに見つかり不倫が発覚し、志帆さんやその両親に対して不倫解消や中絶を約束するなど、“協議離婚”と “不倫解消・中絶”という「相矛盾し実現可能性もない複数の約束が露見する絶対絶命の状況」の下で、その解消のために、野田被告が志帆さん殺害の意思を強めたと判断しました。 また事件の約半年前から、「溺死 殺人」「完全犯罪 海水浴」「保険金殺人」等の検索をインターネットで行っていた点や、被告には浪費癖があり、事件当日時点で預金残高が数万円にすぎなかった点にも言及。 結論として「被告は、海水浴中の溺水に見せかけて被害者を殺害し、不倫相手との新生活の資金を保険金で得ようとしていたと認められ、被害者が溺水し死亡した過程は、その計画に完全に符合する。他殺以外によって偶然に実現した可能性は考えられない」と断定。 野田被告側の控訴を棄却しました。
野田被告は微動だにせず… 弁護人「上告を検討」
約2時間半の判決言い渡しの間、野田被告はほとんど微動だにせず、裁判長のほうを真っ直ぐ見つめていました。 判決言い渡し後、野田被告の弁護人は「被告と協議した上で、最高裁への上告を検討する」としました。