4連覇を目指す藤井聡太竜王に佐々木勇気八段が挑む第37期竜王戦七番勝負が10月5日、東京都渋谷区のセルリアンタワー能楽堂で開幕する。2017年に藤井竜王のデビュー30連勝を佐々木八段が阻止したのが、第30期の決勝トーナメント2回戦だった。7年の時を経て、将棋界最高峰の舞台で相まみえる両対局者に心境を聞いた。（読売新聞文化部　星野誠） 【写真特集】バスケットボールを楽しむ佐々木勇気八段

七番勝負は角換わり中心に、佐々木八段の攻め「うまく受け止めたい」

4連覇を目指す藤井聡太竜王＝若杉和希撮影

　――決勝トーナメント（本戦）開幕前に有力候補として予想された佐々木八段が挑戦者になりました。 　 藤井 　佐々木八段は今回がタイトル戦初登場になりますが、順位戦でA級に昇級されるなど、ここ1、2年は活躍されていたので、順当だと思います。 　――今期竜王戦で印象に残った対局は。 　 藤井 　2組ランキング戦の八代弥七段との対局は、序盤から力のこもった応酬が続いた中、佐々木八段が鋭い攻めを繰り出して一気に抜け出し、充実ぶりを感じました。広瀬章人九段との挑戦者決定三番勝負第1局は、リードを奪ってからの指し回しが的確で最短距離で勝ちに持っていった。攻めだけではなく、自陣の手の入れ方も非常にうまく指された一局でした。 　――棋風については。 　 藤井 　以前から、攻めの鋭さが佐々木八段の棋風の大きな特徴でした。それに加えて、このところは受けの正確さや、流れの悪い局面でも踏みとどまる力が増してきたかなと思います。

七番勝負の日程と開催地

　――叡王失冠の影響は。 　 藤井 　いや、特には。叡王戦の（1秒単位で計測される）チェスクロック方式4時間という持ち時間があまり得意ではなく、終盤戦で伊藤（匠叡王）さんにうまく指されたのに対し、こちらはミスが出た感じです。 　――七番勝負の展開は。 　 藤井 　私と佐々木八段とは戦型選択の傾向が似ています。基本的には角換わりが中心になると思うので、そこからどう工夫していくかが問われることになる。佐々木八段は攻めが持ち味なので、うまく受け止められるかどうかが中盤以降のポイントです。 　――七番勝負の楽しみは。 　 藤井 　あわら温泉のある福井県は通過したことはありますが、訪れるのは初めて。第5局の和歌山県にはそもそも行ったこともないので、楽しみにしています。