実名化が前提なら「存在否定」 熊本ゆりかご、市側に反論
親が育てられない乳幼児を匿名で受け入れる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)を運営する熊本市の慈恵病院の蓮田健院長は13日、報道陣の取材に応じ「匿名が認められないと、ゆりかごの存在否定になる」と強調した。市の専門部会が5日、「最後まで匿名を貫くことは容認できない」として、実名化に向けた環境整備を求めたことに反論した形だ。 部会は専門家5人で構成され、ゆりかごの課題を検証する。5日発表の報告書では、出自を知る子の権利を守り母親の支援態勢を整えるため、秘密は守りつつ、預け入れる家族の「実名化が必要」だと指摘した。 蓮田氏は、ゆりかごに子を預け入れた女性が匿名性を否定するような報告書の内容を伝える報道を見つけ「不安だ」と懸念を示した例を紹介した。「ゆりかごは匿名性を保障している」と改めて強調し、疑念を生じさせるような市側の発信に苦言を呈した。