年金額の平均は「月14万円」だけど、実際その金額で暮らすのは難しい?「持ち家」がないと老後破産になる? 定年後の生活費をもとに解説
厚生労働省の公表している2022年度の厚生年金保険・国民年金事業の概況によると、老齢年金の平均受給金額は14万4982円でした。 しかし、この年金額だけで定年後の生活を維持できるのか不安に思う人は多いのではないでしょうか。実際に毎月の支出額はもちろん、持ち家の有無でも定年後の生活のリスクは大きく変わります。本記事では定年後の一般的な生活費を参考にしながら、詳細を解説します。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算
年金額14万円で暮らしていくのは可能か?
総務省統計局の2022年家計調査年報によると、65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の消費支出は14万3139円と公表されています(図表1)。 図表1
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年) 65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支-2022年- この結果からは、年金が14万円あれば生活に大きな問題はなさそうに感じられますが、実は注意点があります。図表1の住居費は8.9%となっています。金額にすると1万2746円です。 持ち家であれば、この金額まで住居費の支出を抑えることは難しくありませんが、賃貸では現実的には難しいでしょう。例えば住まいが賃貸で家賃が7万円だとしたらどうでしょうか。 この場合、7万円から約1万3000円を引いた5万7000円分の住居費が増加するため、消費支出はおよそ20万円まで増加し、非消費支出(図表1の一番左の項目)まで含めると、毎月の支出はおよそ21万円になります。 年金14万円の収入に対して支出が21万円ですので、毎月の不足額は7万円、年間では84万円が不足する計算になります。仮に老後のために2000万円の貯蓄をしていたとしても、およそ24年で資産が底をつく計算です。日本の平均寿命は延びつつあり、男性81.05歳、女性87.09歳(2022年)という結果を考えると、老後のために貯蓄をしていても、少々不安に感じるかもしれません。