新NISAで投資はじめ(1)、どのくらい長ければ「長期」投資といえるのか?
新NISAを使った投資について、どのような成功イメージを持っているだろうか? 資産形成について「長期・分散・積立」が大事という話は、様々なところで推奨されている。また、少し踏み込んだアドバイスをするところでは、「投資信託のコスト(運用に関する手数料)の安い商品を選ぶように」といわれ、「アクティブファンドはコストが高いものの、必ずインデックスファンドに勝てるというものでもないので、まずは、低コストのインデックスファンドを買っておいた方が良い」と説く。そこで、低コストのインデックスファンドで積立投資を開始するという流れになるのだが、その結果、どのような投資成果になるのだろうか? 「積立」で投資を始めたものの、「長期」とはどの程度の期間をいうのだろう?
全投資信託(投信)の中で、過去10年間のトータルリターン(信託報酬等を控除後、基準価額の変動に加え分配金等を含めたすべての投資収益)で全投資信託の中でトップの成績をあげているのは「野村 世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」だ(2023年12月末現在)。この投信こそが、現存する投信の中で10年間投資した場合のベストの選択肢だったといえる。その収益率は年率で24.49%に達している。複利で計算すると10万円の資金が、10年後には89.4万円になる計算だ。毎月1万円を積立投資した場合、10年間での投資元本120万円の評価額は、収益非課税のNISA口座で運用した場合は441.54万円になる。10年間で一括投資の場合は資金が約9倍となり、積立投資を行っても投資元本が約3.7倍になる計算だ。
このような結果だけを見てみると、投資で収益をあげることは難しくないように感じられるかもしれない。しかし、10年前、この投信に投資していたら10年後は投資額が9倍になりますなどと断言できる人はいなかった。もちろん、投資するにあたって、この投信がどのような運用方針で運用するのか、具体的にどの資産に投資するつもりなのかということは「目論見書」等によって情報を知ることができる。