「有休が勝手に使われてる!?」取った覚えがないのに「有休残日数」が減るのはなぜ? 理由を解説
有休を使った覚えがないのに、なぜか有休残日数が減っている……誰かが勝手に有休を使っているのでしょうか? 実は、会社に「計画年休」の制度があるからかもしれません。 この記事では、計画年休の概要やメリット、強制力などについて解説します。
「計画年休」とは?
いつ有休を取るかは、労働者が決めるものです。しかし一定要件のもと、会社が労働者の有休取得日を、計画的に割り振ることが認められています。これが「計画年休」です。正式名称を「年次有給休暇の計画的付与」といいます。 ■広く導入されている計画年休 厚生労働省が行った令和4年就労条件総合調査によると、計画年休制度のある会社は全体の43.1%でした。会社規模別では、30~99人規模の企業で41.7%、300~999人規模の企業で49.8%、1000人以上規模の企業で47.3%と、企業規模により導入率が少し異なるものの、それほど大きな開きはありません。なお、計画年休の日数は「5~6日」が最も多く、71.4%を占めています。 【図表1】
厚生労働省 令和4年就労条件総合調査の概況 ■計画年休制度は3種類 計画年休制度では、会社側が主導して労働者の有休取得日を決めていきます。その決め方には「一斉付与方式」「交替制付与方式」「個人別付与方式」の3種類があります。 一斉付与方式では、会社全体が一斉に休みます。一斉に休めば工場などの操業がストップできるため、その日を機械の修理や点検に充てることができます。また光熱費の節約にもつながります。 交替制付与方式は、グループや班ごとに休みを取る方法です。休業日を増やすことが困難な流通・サービス業などで採用されることが多いようです。 そして個別付与方式は、あらかじめ個々の労働者の有休希望日を調査し、それをもとに会社が有休を割り振る方法です。 ■計画年休で大型連休の実現も可能 会社によっては有休消化率がとても低いことがあります。「休むと周囲の人に申し訳ないから」「上司が休まないから」あるいは「忙し過ぎて休めない」など理由はさまざまですが、このような会社には特に、計画年休制度がマッチします。 会社側で有休取得日を決めるため、労働者は周りに気を遣うことなく休みが取れます。前述の個人別付与方式の場合などは、誕生日や記念日に有休を充てることもできるでしょう。 また飛び石連休の中日(なかび)や、年末年始休暇の前後に計画年休が配置されれば、大型連休になることもあります。連休の中日に休みたいと思っても「自分だけずるいような気がして」言い出せない人もいるかもしれませんが、会社が決めた計画年休であれば、気兼ねなく堂々と長い休みを満喫できます。