強力打線を背景にブレーブスが貫禄の地区制覇。メッツは大型補強もむなしく……【MLB地区別球団通信簿:ナ・リーグ東地区】<SLUGGER>
レンジャーズが球団史上初の世界一を勝ち取って幕を閉じた、2023年のMLBペナントレース。その結末に至るまでにしのぎを削った全30球団の戦いぶりを通信簿形式で採点した。今回はナ・リーグ東地区の5球団をお送りしよう。 ※SLUGGER12月号増刊『メジャーリーガー555人の通信簿』より加筆・修正 【動画】アクーニャJr.が40-70の金字塔に到達! ▼ブレーブス 104勝58敗 勝率.642(地区1位) 通信簿:よくできました 地区優勝候補筆頭との前評判通り、強力打線と充実した投手陣を擁して、開幕から快進撃。7月半ばには地区2位と10ゲーム差と独走態勢に入り、今季MLB最多の104勝を挙げて地区6連覇を果たした。 特に注目されたのが、MLB史上に残る超豪華打線だ。史上初の40本塁打&70盗塁を達成したロナルド・アクーニャJr.と両リーグ最多&球団新の54本塁打を放ったマット・オルソン以外にも強打者が勢ぞろい。マーセル・オズーナ(40本)、オースティン・ライリー(37本)、オジー・アルビース(33本)とともに史上初の30本塁打クインテットを結成した。チーム本塁打307本も2019年のツインズと並んで史上最多タイ。投手陣でもスペンサー・ストライダーが今季のMLB全体で唯一の20勝投手となり、球団シーズン奪三振記録(281)も更新した。 それだけに、2年続けて地区シリーズでフィリーズに敗れたのはショック。「誰も確実な方法は分からないが、毎年誰かが勝利する。それが野球の素晴らしさであり、我々は常に答えを探している」。アレックス・アンソポロスGMの言葉には真理と悔しさが入り混じっていた。 文●城ノ井道人
▼マーリンズ 84勝78敗 勝率.519(地区3位) 通信簿:よくできました シーズン前の下馬評は決して高くなかったが、開幕から1点差試合で12連勝するなど、接戦で無類の強さを発揮。打線を牽引したのは新加入のルイス・アラエズで、6月24日時点で打率.401。さすがに後半戦は勢いが落ちたが、史上初となる両リーグでの2年連続首位打者に輝いた。一方、投手陣では、昨季サイ・ヤング賞に輝いたサンディ・アルカンタラが精彩を欠く中、若いヘスス・ルザード、ブラクストン・ギャレット、ユーリー・ぺレスが次々に躍動してエースの不振をカバーした。 6月は19勝8敗と大きく勝ち越しながらも7~8月は負け越して一時は借金生活だったが、9月に再び上昇気流に乗り、最終的には得失点差-57ながら貯金6。短縮シーズンを除けば20年ぶりプレーオフ進出を果たした。 この成果を来季にもつなげたいところだが、ワイルドカード・シリーズ敗退後にキム・アンGMが辞任。アルカンタラはトミー・ジョン手術で来季全休が決まっており、ピーター・ベンディックス新GMにとっては厳しい船出となりそうだ。 文●出野哲也 ▼メッツ 75勝87敗 勝率.463(地区4位) 通信簿:ガッカリです 昨季はチーム歴代2位の101勝を挙げ、オフにはジャスティン・バーランダーや千賀滉大などを獲得する”5億ドル補強”を展開。最初の21試合で14勝の好スタートを切って1986年以来の世界一への夢が膨れ上がったが、先発陣に故障者が続出し、主力野手も軒並み不調に陥ったことで徐々に停滞がはじまり、トレード・デッドラインで白旗。バーランダーやマックス・シャーザーら主力を次々と放出して事実上終戦した。 当然、後半戦はほとんど消化試合の雰囲気だったが、光明がなかったわけではない。千賀は新人王やサイ・ヤング賞候補に挙げられるほどの支配的な投球を継続。プロスペクトのフランシスコ・アルバレス、ロニー・マウリシオ、マーク・ビエントスらも才能の片鱗を見せた。 シーズン終了後にはブルワーズで手腕を発揮したデビッド・スターンズを編成総責任者に迎え入れた一方、ビリー・エプラーGMがIL不正使用問題により辞任。バック・ショーウォルターに代えてカルロス・メンドーサ新監督を迎え入れるなど、新たな体制で来季以降再び世界一を目指すこととなる。 文●杉浦大介