小芝風花&津田健次郎にとっての「絶対にダメ!でもやりたくなること」って何?
スティーブン・スピルバーグ製作総指揮と「ジュラシック・ワールド」の製作陣が集結して製作されたアクション・アドベンチャー大作「ツイスターズ」が、8月1日に公開を迎えた。世界規模の異常現象が起こるなか、巨大竜巻モンスター“ツイスターズ”が多数発生しているアメリカ。前代未聞の“竜巻破壊計画”に挑む人々を描いた本作は、竜巻の圧倒的な映像表現はもちろん、重厚な人間ドラマも展開する。 【動画】「ツイスターズ」日本語吹き替え版予告 そんな本作では、気象学の天才として竜巻に挑むケイト・カーターを若手注目俳優のデイジー・エドガー=ジョーンズが、最初はケイトと反目しながらも、共に協力していく竜巻チェイサーのタイラー・オーウェンズをグレン・パウエルが演じている。 ケイト&タイラーの日本語吹き替え声優を務めたのは、俳優の小芝風花と津田健次郎。2人が作品の魅力や、演じ続けることのモチベーションなどを語り合った。(取材・文/磯部正和) ●キャラクターの魅力、“声”をあてるうえで意識したことは? ――小芝さんが声を当てたケイト、津田さんが演じたタイラーについて。そして、デイジーさん&グレンさんの演技を含めてどのような印象を持ちましたか? 小芝:デイジーさんのお芝居がとても素敵だなと思いました。ケイトは頭も良くて行動力もある。でもただの正義のヒーローではなく、ちゃんと竜巻のトラウマに悩み恐怖を抱くような表現もされていて、とてもリアルだなと思いました。 津田:グレン・パウエルさんは、嫌な奴を演じるのが非常に達者(笑)。本当に嫌な奴に見えるんですよね。特に冒頭なんかは。そこから物語が進むにつれてタイラーの本質が見えてくるのですが、イケイケでありながら、意外と繊細というギャップに魅力を感じました。 ――そんなキャラクターを演じるうえで意識した部分は? 小芝:私はまだ吹き替え経験が少ないので、とにかくがむしゃらに……という思いはありました。あとケイトは茶目っ気があるというか、ちょっとタイラーを翻弄するような小悪魔的な部分もあるんですよね。タイラーってこれまで自分が周囲を巻き込んでいくタイプだったと思うのですが、ケイトに対しては思うようにいかない。そういう相手を翻弄する魅力をどうやって出せるか……というのは大切にしました。 津田:ケイトとの距離感ですね。最初はライバルの状態で入るのですが、どこか興味がある。でもなかなか距離が縮まらない。とても繊細な距離感で、現場でも何テイクか重ねたところでした。とても難しかったです。 ――小芝さんは2018年公開の「くるみ割り人形と秘密の王国」以来、2度目の海外映画の吹き替えでしたが、お話があったときはどんなお気持ちでしたか? 小芝:いろいろなお芝居の形に挑戦できるのはとても嬉しかったので、最初は「やりたいです!」と意気揚々だったのですが、収録が近づいてくると「どうやったらいいんだっけ?」と不安になってしまいました。以前(1996年)公開された「ツイスター」の吹き替え版を観て、声の演じ方を研究しました。 ●津田健次郎の“声”が道しるべに――小芝風花「すごく安心感がありました」 ――実際のアフレコはいかがでしたか? 小芝:私が収録する際には、津田さんの声が入っていたので、すごくありがたかったです。道しるべのように頼りにさせていただきました。あとは雰囲気をつかむために、物語の順番ではなく、タイラーとのシーンから収録させていただいたのですが、それはすごく助かりました。でもやっぱり英語のセリフと日本語では長さが違いますし、テンポも違うので、とても難しかったです。 津田:僕はこれまで演じたことがないようなキャラクターだったので楽しかったです。前半「イェーイ」みたいな感じだったのが、後半になると「ギャー」ってテンション高いシーンが多かったので、本当に振り切って演じました。 ――津田さんの声はいかがでしたか? 小芝:ドシっとしてすごく安心感がありました。タイラーって怖いもの知らずな感じですが、結構好きな人には弱いんだなと感じるシーンがあり……。そのギャップもとても素敵に表現されていて、本当に頼りになりました。 ●ダメなのにやりたくなる……小芝風花&津田健次郎にとっての“禁断の行為”とは? ――ケイトもタイラーも、竜巻の怖さは知っているものの、その存在に魅了されていきます。お二人にとってダメだと思いながらも、やってしまうことはありますか? 小芝:絶対ダメだと分かっているのですが、のどが痛いときに強炭酸を飲んでしまいます(笑)。 津田:それは何を思って? 小芝:シュワシュワでのどのイガイガが流れていくのでは……という感覚がありまして(笑)。でも絶対のどには悪いじゃないですか。 津田:でも僕もあまりそういうのは気にしないです。しっかり声が出れば大丈夫というタイプなので(笑)。 ――津田さんは何か“禁断”は在りますか? 津田:僕はブラックホールとかあったら入ってみたい。怖くて危ないと思うけれど、中がどうなっているのか見てみたいじゃないですか。入ったら絶対アウトだろうけど。 小芝:未知のものとかに興味があるのですか?深海とか宇宙とか? 津田:あります。怖いけれど行ってみたい。でも三半規管が弱いのでロケットも潜水艦も厳しそうですが……。でもホラー映画だけはダメですね(笑)。 ●“演じること”のモチベーションは? ――竜巻へ飽くなき情熱を捧げるケイトとタイラーですが、お二人にとって演じることの最大のモチベーションは? 小芝:観てくださる方がいるというのが大きいです。私たちの仕事は観てくださる方がいないと成り立たないので。そのなかで作品を観て「すごく感動しました」とか「元気になりました」といった声をいただくと「もっといい作品にしよう」とか「もっと深めていこう」というモチベーションになります。芝居って正解がないじゃないですか? 同じ脚本を読んでも演じる人が違えば全然違ったものになる。そうすると「今度はこんなアプローチ方法で行こう」とどんどん探求していけますよね。そこが大きな魅力です。 津田:僕は芝居ってなんだろうって、このお仕事を始めたころから思っていました。それだけ奥が深くて謎だらけなので、どんどん追求していきたいと思ってしまうんですよね。 小芝:私もたまに「いま何をやっているのだろう」と思うことがあります。 津田:本当に不思議な仕事だよね。 ――小芝さんは2度目の海外作品の吹き替えでしたが、またやりたいですか? 小芝:やってみたいです! 皆さんの声が入った完成版を拝見したのですが、勉強になる部分がとても多かったです。ご縁があったらまた挑戦したいです。 ――コメディなどは? 小芝:コメディは難しそうですね。文化の違いもあるだろうし。アメリカンジョークが分からないときもあるので。コメディはもうちょっと鍛錬を積んでからぜひという感じです。 ――最後に作品の見どころを? 小芝:大迫力映像のオンパレードなので、ぜひ大きなスクリーンで観てほしいです。4DXでの上映もありますし、本当にアトラクションを楽しむような気分になります。 津田:この映画35ミリフィルムで撮っているんですよね。デジタルに適した題材をフィルムで撮るという……。その画質にも注目していただきたいですし、エンタメとしても登場人物の心情がしっかり描かれていますので、人間ドラマも楽しめます。