エンターテイナー・戸田恵子の凄みを見せつける『虹のかけら』ゲネプロレポート
三谷×戸田の最強タッグぶりを実感するステージ
そして、ガーランドの死と共にシルバーマンの日記も終わる。まさに彼女たちは表裏一体だったのだ。……という “ふたりのジュディ” の描き様は、三谷によるリアルとフィクションの混然一体ぶりが冴えわたっている。観終われば「なるほど! そういえばあそこは……」と、もう一度観て確かめたくなる心憎いつくり。だがそれも、戸田が演者であるからこそできることなのだな、とあらためて戸田のエンターテイナーとしての凄み、そしてふたりの最強タッグぶりを実感させられる作品ではないだろうか。 それにしても、東京と全国のプレビュー公演を経てニューヨーク公演を、しかもガーランドに所縁のあるカーネギー・ホールで行うとは。「事実は小説より奇なり」とはこのことだろうか。ニューヨーク公演でこの作品がどう受け止められるのか、ドキドキしてしまう。そして、その後の凱旋公演ではどのような変化が生まれているのだろうか。ワクワクせざるを得ない。 最強タッグを生で味わえる幸せをかみしめたくなる本作は、東京プレビュー公演が6月6日(木) まで銀座博品館劇場にて。その後6月に埼玉・新潟・愛知・大阪での全国プレビュー公演、ニューヨーク公演を経て、7月に大阪・埼玉・三重・東京での凱旋公演あり。 取材・文:金井まゆみ 撮影:宮川舞子
戸田恵子 コメント(5月30日開催『虹のかけら~もうひとりのジュディ』取材会より)
いよいよ明日が初日になりまして非常にワクワクしております。再演から5年経ちますが、まさかもう一度できるとは思っていなかったですし、60歳を過ぎてからの5年は大きいので自分でも驚きつつなんとか初日にこぎつけた気持ちです。 この1カ月、週3回朝にジムに通ったり、食事にも気を付けてなんとか体形は5年前の衣装が着られるまでに戻すことができたのですが、体力は正直自信がないです(笑)。ただ持ち前の気力で乗り切って頑張っていきたいと思っています。 そもそもこの作品は、私の還暦のお祝いとして三谷幸喜さんが作ってくださいました。初演の時は台本が本番6日前ぐらいに届くぐらいバタバタで……(笑)。消化不良なところもあったので、2019年に再演をやらせていただきました。本来であればアニバーサリー公演ということでこれっきりの代物だったのですが、たまたまカーネギーの関係の方が再演を観てくださっていて、小ホールでぴったりだと思うんですがいかがですか?と言ってくださったんです。青天の霹靂の中、コロナ禍でニューヨークの劇場も閉鎖になってしまい「きっと立ち消えてしまったな……。一瞬の夢を見させてもらったな」という気持ちでいたのですが、昨年あたりにそろそろどうですか?と言っていただき今回にこぎつけました。 ニューヨークでの公演が決まった際、三谷さんには一番にお伝えしましたが「本当に行くんですか?」と言われたので、「行きますよ」とお伝えました(笑)。今回はカーネギーの公演ありきということでリニューアルしております。カーネギーはシアターではなくコンサートホールなので、そこに向けて三谷さんにもお力を借りて、よりシンプルになり、よりジュディ・ガーランド像がくっきり浮かび上がってきたんじゃないかなと思っています。 ジュディ・ガーランドはプライベートでは大変なこともあり、表舞台に立つ姿とのふり幅の大きさは想像を絶するのですが、ステージを観ると圧巻なんです。短い人生を駆け抜けた姿を感じ取れて、それに触れていくストーリーを届けられるのは光栄なことだと感じています。 泣いても笑っても私ひとりしか出てこないので、皆さんが飽きないように短い時間ではありますが精一杯努めます。沢山の方に観ていただけたら嬉しいです! 劇場でお待ちしております。 <東京公演> 虹のかけら~もうひとりのジュディ プレビュー公演:2024年5月31日(金)~6月6日(木) 銀座 博品館劇場 凱旋公演:2024年7月14日(日)~7月15日(月・祝) 有楽町よみうりホール