九州電力川内原発1号機が運転延長 原則40年超え全国4基目 国の「可能な限り低減」から「最大限に活用」への姿勢鮮明 複合災害へ県民不安は根強く
九州電力川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)は4日、運転期間を「原則40年、最長60年」と定める現行制度で20年の延長期間に入った。40年を超えて動く原発では全国4基目、新規制基準下で再稼働した後に延長を迎えた初のケースとなる。能登半島地震で高まった複合災害への懸念をはじめ県民の不安が根強い中、「原子力を最大限活用」する国の姿勢を象徴する。 【写真】〈関連〉九州電力川内原発1号機の運転延長に抗議する市民団体のメンバーら=4日午前、薩摩川内市久見崎町
1号機の原子炉は現在、定期検査のため停止している。8月27日に起動し、同29日から発電を再開する見通し。通常運転復帰は9月25日を予定する。 原則40年ルールは、2011年の東京電力福島第1原発事故を教訓に定められた。国は原発依存を「可能な限り低減」としたが、脱炭素社会の実現などを理由に原発回帰へ転換。25年6月、60年超運転を可能にする新制度に移行する。 新制度では30年超運転を予定する原発に対し、原子力規制委員会が最長10年ごとに劣化を確かめる。九電は移行までに求められている、川内原発1号機が50年まで、2号機は40年までの認可を申請している。 今回の運転延長に向けては、九電が2号機と合わせて原子炉容器やコンクリート構造物の劣化状況などを調べる特別点検を実施。結果を審査した規制委が23年11月に認可した。専門家会合で独自に検証した県も同12月に容認していた。 川内原発を巡り、規制委は20年運転延長の認可後、地震対策見直しを24年2月に許可。現在は新制度に基づく劣化の確認に加え、1、2号機の使用済み燃料プールの共用化など複数の審査を進めている。
川内原発は1号機が1984年7月4日、2号機は85年11月28日に運転開始。ともに加圧水型軽水炉(PWR)で、出力は89万キロワット。
南日本新聞 | 鹿児島