小学校低学年で必修の“7つの能力”とは? 中学以降も技術伸ばす「野球上達」メニュー
コーディネーショントレは「できない」が大前提…7割できたら違うメニューを
また、ラダー(ひも状のはしご)を使うのも効果的だ。マス目を連続ジャンプしていく場合は、速く跳べばいいわけではなく、きちんとした動きで、前の人と同じテンポで跳んでいくのがポイントだという。 「人の動きと合わせる協調性もコーディネーションの大事な要素です。また、ボールを両手で左右に弾きながらマス目を動いていくような“複雑さ”を加えれば、『リズム』はもちろん、体の上下の『連結』にも、ボールを扱うので『識別』にも、マス目の中に体を入れていくので『定位・空間把握』にもつながります」 こうした能力を「プレ・ゴールデンエイジ」の間に磨いておけば、反復練習によって野球の技術が伸びていく年代「ゴールデンエイジ」(9歳~12歳)へと、スムーズに移行できる。 ちなみに、コーディネーショントレは「できない」ことが大前提なので、「なんでできないんだ!」などと叱るのは絶対NGだ。逆に、「できてしまう」のは神経系への刺激につながらない。「7割程度できるようになったら、違うメニューに変えるのか基本です。“形”になってしまうとコーディネーションではなくなります。毎回同じ動きではなく、異なる動きを入れてアレンジしていくのがいいでしょう」とアドバイスする。 また、「難しいかもしれませんが、客観的に見て『自分たちのチームに足りない』と感じるものを取り入れてほしい」とも。土屋さんが他チームを見ていても、ボールを扱うのは上手なのに、みんなベタ足走りをする、一定の動きはできるのに、アレンジを加えると全くできなくなる、など、それぞれに特徴的課題はあるものだという。 コーディネーショントレをウオームアップ中や、ウオームアップ直後5~10分間取り入れてみる。それだけでも将来、大きな差として表れる可能性がある。「小学生の段階では明確でなくても、中学・高校と上がるにつれて『あのチームからは、伸びる選手がよく出てくるね』などと評価されるはずです」。 早くから野球の動作だけにこだわる必要はない。将来を見据えて、まずは運動の基礎から。遊び感覚で楽しみながら、子どもたち全員の可能性を引き出してあげたい。
高橋幸司 / Koji Takahashi