小倉久寛、生誕70年記念で三宅裕司と10年ぶりコントライブ「三宅さんがいじり倒して、ぼくはボケる。俳優・小倉久寛のベースになっている」なんと楽屋は“舞台上”
シリアスからコメディまで、幅広い作品で唯一無二の個性を放つ俳優、小倉久寛。劇団『スーパー・エキセントリック・シアター』の旗揚げから45年間、三宅裕司と共に歩み続けてきた小倉久寛のTHE CHANGEとは──。【第3回/全4回】 ■【画像】「俳優・小倉久寛のベース」と話した三宅裕司とのかけあいの様子 小倉久寛と三宅裕司による10年ぶりのコントライブ『小倉久寛生誕70周年記念コントライブ ザ・タイトルマッチ3 お楽しみはこれからだ~You ain‘t heard nothin’ yet~』が、2025年2月21日から3月2日まで新宿の紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで開催される。 「コントじゃないんですけど、劇団『スーパー・エキセントリック・シアター』の本公演では、初期のころからぼくと三宅さんの2人でかけあいをするシーンがあるんですよ。台本には、おおまかな流れだけが書いてあって、ほぼアドリブで進行するんです。 基本的には、三宅さんがぼくをいじり倒して(笑)、ぼくはそれにボケるというか……翻弄(ほんろう)されるわけなんですけど、そういうシーンを作ってくれたことが、何よりも嬉しかったし、俳優・小倉久寛のベースになっていると思いますね」 芝居と、コント。似ているようで、まったく違うようにも思えるが……。 「そう、似ているけど、同じではない。そこがおもしろいところであり、難しいところです。お芝居の場合は、舞台に出てきてセリフを言ったりしているうちに、だんだんその役がどういう人間かというのがわかってくるんですけど、コントの場合は出てきた瞬間に“この人は、こういう人なんだ”というのをお客さんにわかってもらわなくちゃいけない。だから、ギュッと凝縮されている感じがしますね」
三宅裕司との三度目のコントライブ。なんと楽屋が舞台上に!
今回のコントライブでは、5本のコント作品が予定されているというが、斬新なのはその構成だ。 「5本それぞれにシチュエーションが違うから、衣装チェンジなどで楽屋に帰る必要があるんですけど、なんと楽屋が舞台上なんです(笑)」 ……というと? 「1つのコントが終わると舞台上が楽屋のセットに変わって、ぼくらはそこで次の作品の準備をするんです。お客さんが見ている前で」 この構成は、前回の『小倉久寛 祝還暦記念コントライブ ザ・タイトルマッチ2~笑いのDeath Fight~』でも取り入れており、着替えだけでなく、雑談や、直前にやったコントのダメ出しなどもするのだという。 「だから“あそこさ、いまはああやったけど、こうの方がいいんじゃない?”“じゃあ、明日はそっちでやってみます?”“そうだな。でも、あの動きが効果音のきっかけになってるから……じゃあ、きっかけも変えよう”なんてことが、あるかもしれない」 長年培ってきた信頼関係があるからこそ、生まれた企画である。 10年前の還暦ライブでの最後のあいさつで、小倉はこう言ったという。 ──三宅さんは、高い志を持ってこの世界に入りました。こうなりたい、ああなりたい、芸能界でこんなことを成し遂げたい……そんな志を持ってきたけれど、ぼくにはまったくありません。人の意見を聞き、流され流され、気がついたらここにいました。これからも、どこに流されるのか楽しみです。 10年間、流された小倉がいま、たどり着いた場所を見るのが楽しみで仕方がない。 小倉久寛(おぐら・ひさひろ) 1954年10月26日生まれ。三重県出身。学習院大学法学部を卒業後、劇団大江戸新喜劇を経て、1979年に劇団スーパー・エキセントリック・シアターの旗揚げメンバーとなる。以来、劇団の本公演だけでなく、舞台、映画、テレビドラマで活躍すると共に、バラエティ番組、ナレーター、声優としても活躍。主な出演作は、映画『千夜、一夜』(2022)、連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合)、土曜ワイド劇場『おかしな刑事 シリーズ』(テレビ朝日系)など。 工藤菊香
工藤菊香