<サッカー>U-23代表はイランに勝てるのか? 浮かぶ不安材料
チームは14年1月の立ち上げ以来、今大会までに20試合の公式戦(国際大会と国際親善試合)をこなし、13勝4分3敗という成績を収めているが、勝利したゲームはいずれも先制しており、敗れた3試合はいずれも先制されたゲーム。一度も逆転勝利を飾ったことがないのだ。 その3敗の相手はイラクが2試合(14年U-23アジア選手権と14年アジア大会)と韓国(14年アジア大会)。いずれも日本がU-21代表(2年前の現チーム)だったのに対し、相手は2歳上のU-23代表だったが、跳ね返す力が当時はなかった。 もちろん、これまでどおり先制するに越したことはないが、強豪の集う決勝トーナメントとなれば、先制されることもあるだろう。そのとき、打ちのめされず、リバウンドメンタリティを発揮して挽回できるか。先制されたときこそ、このチームの真価が問われる。 準々決勝の相手はイランだ。このチームのエースで、10月に行なわれたA代表同士の日本対イラン戦にも出場していたサルダル・アズムンは病気のために大会にエントリーされておらず、他にもヨーロッパでプレーする2選手が所属クラブの許可が下りなかったため、参加していないという。 「イランは(サウジアラビアより)もっと体格に幅がある。プレーのテンポが遅いように見えても、なかなか奪えないぐらい身体の使い方が上手い」というのは手倉森監督のイラン評だ。 一方、久保は「ディフェンスラインがすごく高いと思いましたし、一人ひとりの能力が高そうですけど、ルーズになる時間帯もある」と攻略に自信を見せた。 オマーンで行なわれた2年前の前回大会でもグループステージの初戦で対戦しており、2歳上のイランに対し、日本は3-3と引き分けている。そのときのイランと比べ、小粒で大人しいように感じられる。 イランとの準々決勝を制すれば、次はおそらくイラクとの対戦となる。 韓国と並び、この世代で最も強いと言われるイラクは、前回大会の優勝チームでもある。両チームはグループCに属し、直接対決では1-1のドローに終わり、ともに2勝1分ながら、得失点差で上回る韓国が1位、イラクが2位でグループステージ突破を決めた。 日本にとってイラクは前述のとおり、2敗を喫した相手でもあり、久保、遠藤航、大島らが出場した12年U-19アジア選手権の準々決勝で1-2と敗れ、翌年のU-20ワールドカップへの出場を断たれた相手となる。 その因縁の相手に勝ってリオ五輪への出場権を獲得する――それが日本の描く最高のシナリオとなる。 (文責・飯尾篤史/スポーツライター)