〝山の問題と解決策〟をレンジャー同行の御岳山行で実感! 「JACK WOLFSKIN DISCOVERY CLUB 2023 vol.04」ルポ【後編】
登山道整備だけでなくナラ枯れ対策も
ランチ休憩を取り、体力を取り戻し午後の山行に出発。すると早速、地元の猟師さんが足を止めました。 どうやら「ナラ枯れ」の被害現場のようです。 ナラ枯れとは、カシノナガキクイムシがナラ類やシイ、カシなどの樹木に潜入し、ナラ菌が樹体に感染し、枯死してしまう伝染病で多くの山で問題になっています。樹木が大きな状態で枯死すると倒木の危険性があり、山だけでなくキャンプ場などでも事故が多く起こっています。 伐採はナラ枯れの進行度によって優先順位をつけてしているそう。自然保護の観点から見て出来るだけ避けたいところではありますが、苦渋の選択であると聞き、行き場のない気持ちと安全に山行が出来るように整備してくれている人たちに尊敬の念を抱きました。 樹木にナンバリングされているのは、1本1本地元の方によって管理されているからだそうです。登山道の整備だけに限らず、樹木の管理まで。山の安全を保持することの細かさ、大変さが分かります。
雷被害の倒木は登山道整備に使用
こちらは数カ月前に雷被害にあった樹木。朝に登山客が見つけて宿坊に通知してくれたおかげで大きな被害にはならなかったとのことですが、もし火が広がって大規模伐採に繋がったら大変なことでした。常に危険と隣り合わせということを意識しつつトレッキングを楽しむことが大切ですね。 そのまま樹木が置いてあるのは、登山道の階段舗装などの際に出来るだけ資材を再利用する「近自然工法」を用いているからだそうです。SDGsの観点から見ても良い取り組みですよね。 こちらが近自然工法で舗装された階段。 資材を再利用し、ねじなどの人工物を使わず石や木をストッパーにして舗装。出来るだけ自然由来のものを使用して環境保護に努めているとのこと。頭が下がります。 こうして山行中、リアルな現場を解説付きでめぐっているうちに、無事に山行できているのは、多くの人の協力があってこそなんだなと再認識することができました。 これからも、登山の際は自然や安全な環境を守ってくれている人たちに感謝しながら大地を踏みしめたいと思います。
古郡充彬