藤井聡太王将、新年初タイトル戦を白星発進!“無敗の地”掛川で挑戦者・永瀬拓矢九段に逆転勝利 シリーズ成績1勝0敗に/将棋・王将戦第1局
将棋の「囲碁将棋チャンネル 第74期ALSOK杯王将戦七番勝負」第1局が1月12・13の両日、静岡県掛川市の「掛川城 二の丸茶室」で行われ、藤井聡太王将(竜王、名人、王位、王座、棋王、棋聖、22)が挑戦者の永瀬拓矢九段(32)に112手で勝利した。防衛4連覇を目指す藤井王将が、“無敗の地”・掛川でシリーズ白星発進。注目の第2局は、1月25・26日に京都市の「伏見稲荷大社」で指される。 【映像】藤井王将、勝利の瞬間の表情 将棋界の新春の幕開けを告げる王将戦。防衛4連覇を目指す絶対王者が、後手番で白星スタートを切った。注目の開幕戦は、振り駒で永瀬九段の先手番に決定。戦型は、やや意表の相掛かりの出だしとなった。両者のタイトル戦での対戦は4度目となったが、2日制の番勝負は初。永瀬九段は用意の作戦か、1筋から積極的に攻める趣向を見せて主導権を握った。 挑戦を受ける藤井王将は、挑戦者の思惑を慎重に探るように持ち時間を投入。1日目から悩まし気な表情も見せていた。永瀬九段は、1日目の封じ手に軽快な桂跳ねを選択。2日目に入ると、攻勢を強め左右の桂馬で後手陣へと迫っていった。 迫力の長考合戦を経て、超難解な終盤戦へ。永瀬九段が攻めをつなる一方、藤井王将も桂打ちから反撃を開始。互いに少ない持ち時間の中で綱渡りのような高難度の最終盤となった。攻勢を見せ長く優位に立っていた永瀬九段だったが、勝負所で受け身の一手を選択。ここから攻守逆転。藤井王将は中盤の長考で活路を開拓していた金を躍動させて、攻守に手厚い好手を披露した。後手はバラバラだった陣形から、瞬く間に“藤井城”の堅陣を築き上げ、隙無し状態に。緩急自在の王者の指し回しを見せた藤井王将が、永瀬九段の粘りを振り切り堂々のシリーズ先勝を飾った。 藤井王将は「端をどう受ければ良いか分からず、自玉が薄い形で自信のない展開になってしまった。かなり陣形差のある戦いを強いられてしまったので、序盤の細かなところに課題が残ったかなと思う。第2局以降は先後が決まっての戦いになるので、次に向けてしっかり準備していきたい」とコメント。敗れた永瀬九段は、「相掛かりは力戦になるのでよくわからない点が多かったが、切らされる心配もあるので具体的には軽い将棋になって攻めをつなげられるかかな、と思っていた。誤算は特になかったと思う。中盤がとても難しい将棋で、封じ手も桂馬と角の差がわからず、うまく催促されているのかなと思った」と一局を振り返っていた。 この結果、シリーズ成績は藤井王将の1勝0敗に。過去2期の掛川対局では、渡辺明王将(当時)、羽生善治九段から白星を飾っており、好相性の掛川での“無敗記録”を3期に伸ばすことにも成功した。さらに4連覇を目指す藤井王将は、本シリーズ制覇で谷川浩司十七世名人(62)が保持するタイトル獲得数27期に並び、歴代5位となる。快記録に向けて、大事は初戦を制してみせた。 しかし、藤井王将は“八冠復帰”に向けた叡王戦本戦トーナメントのほか、一般棋戦の朝日杯にNHK杯、2月には棋王戦コナミグループ杯五番勝負の開幕を控えるなど、多忙を極める。スケジュール管理を含めどのように攻略していくのか、その戦いぶりに大きな期待が寄せられられることになりそうだ。 注目の第2局は、約2週間後の1月25・26日に古都・京都の「伏見稲荷大社」で予定されている。 (ABEMA/将棋チャンネルより)