IEA、今年と来年の石油需要伸び鈍化を予想-強気のOPECに異議
(ブルームバーグ): 国際エネルギー機関(IEA)は今年の石油需要予測を引き下げ、来年は需要の伸びがさらに鈍化すると見込んだ。低調な経済見通しや電気自動車(EV)の人気化を理由に挙げた。
IEAの弱気な見通しは、今週開かれた会議で石油消費量の急増を指摘した世界トップクラスのトレーダー数人の見解に反する。需要が強いと見なされていることが、地政学的リスクの高まりや供給逼迫(ひっぱく)とともに、ブレント原油を1バレル=90ドル以上に押し上げた重要な要因の一つだった。
IEAは今回、来年の予測を初めて示した。来年の需要の伸びは日量110万バレル。今年については1-3月(第1四半期)の先進国向け供給が例外的に低調だったことを挙げ、石油消費の増加見通しを日量13万バレル引き下げて120万バレルとした。
世界最大の独立系石油商社ビトル・グループは今年の石油消費の伸びを日量190万バレルと予測。IEAの今年の需要見通しは、強気の見方を示す石油輸出国機構(OPEC)に比べ、日量約100万バレル少ない。
OPECは11日発表した月報で、今年と来年の需要の伸びを「堅調」だと表現した。だが、IEAはOPECと非加盟産油国で構成するOPECプラスの遊休生産能力によるバッファーが、競合産油国による供給が拡大する中で来年には過去最高水準に膨れ上がるとみている。
IEAは12日の月報で、「非OPECプラスによる堅調な生産と需要の伸び鈍化の見通しで、OPECプラス産に対する需要は低下する」と予想。「OPECプラスが需要に沿った生産を行う場合、実質的な余剰生産能力は日量600万バレルを超え、新型コロナウイルスの流行期間を除いて過去最大になる可能性がある」との見解を示した。
原題:IEA Predicts Slower Global Oil Demand Growth This Year and Next(抜粋)
(c)2024 Bloomberg L.P.
Alex Longley