【京成杯回顧】課題残るも学習能力高い一頭 前走4着から巻き返したダノンデサイル
負けても次につなげる横山典弘騎手
クラシックはトーナメントにたとえられる。重賞を勝った順に賞金を獲得し、ファーストラウンドを突破し、決勝トーナメントに進む。勝たなければ前進はない。まだ若い3歳春にかかるプレッシャーは想像以上だ。京成杯も2000年以降、前走1着馬が15勝もあげた。このうち前走が初勝利だったのは7頭。2勝目をあげた直後だったのは8頭。特に2019年以降、昨年までの5回で前走初勝利は4頭と、近年、場数を問わない結果が続いた。4頭すべて前走新馬の1戦1勝馬であり、京成杯もトーナメント色が濃い。たとえ冬の厳しい時期であっても、早々に勝ち抜ければいい。春までどれほどゆったり進められるかが重要だ。昨年の勝ち馬ソールオリエンスはその最たる例といえる。 【日経新春杯2024 推奨馬】極上の末脚が京都コースで炸裂する! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) 2勝馬は2番人気2着アーバンシック、1番人気12着ジュンゴールドの2頭。対して1戦1勝馬は3番人気7着バードウォッチャー、6番人気14着グローリーアテイン、12番人気5着ニシノフィアンスの3頭。前走1着馬は半数以上の8頭もいた。 しかし、勝ったのは前走4着のダノンデサイル。確かにクラシックはトーナメントのようだが、正確にはそうではない。負けても敗者復活の機会は用意されている。前走4着馬の京成杯制覇は2000年以降では、04年フォーカルポイントに次ぐ20年ぶり2頭目になる。ひと昔まえの京成杯のようだった。なお、フォーカルポイントも同じ横山典弘騎手。負けても競馬を覚えさせ、次で結果に結びつけるのは、いかにも勝負強い横山典騎手らしい。
中盤緩み、立ち回り勝負へ
ダノンデサイルの前走は京都2歳S。勝ったシンエンペラーとはわずか0.1差で、最後の直線で進路取りがスムーズではなく、力負けとはいえなかった。横山典騎手には最後、スムーズならという手ごたえがあっただろう。今回は先行集団の後ろ、上手くポケットのようなところに入り、馬もリラックスできた。勝負所は外へ。迷いはなかった。4コーナーでの反応の悪さやコーナリングに課題は残すものの、とにかく勝ったことが大きい。これでファーストラウンドを抜け、春に向けて準備を整える時間ができた。 ここまで4戦で4、1、4、1着。いかにも横山典騎手に手が合いそうな学習能力の高さを感じる。次は中山のコーナーも上手に回ってくるのではないか。ただ、これで皐月賞もと言えるかは微妙なラインだ。レースは序盤600m35.6、1000m1.00.7、後半1000m59.8とスローに近い。中盤、13.0を刻み、ペースアップは残り600m11.9-11.3-11.6と上がりの競馬になった。2:00.5は速い時計が出る馬場の影響が濃い。皐月賞は全体的に緩みがなく、ペースアップも手前からはじまる。昨年、ソールオリエンスが皐月賞を勝ち、注目度もあがるが、今年はかつての京成杯のイメージに近いのではないか。ダノンデサイルは本番までにどこまでパワーアップできるかにかかっている。