仙台市中心部で閉店相次ぐ 老舗からランドマークまで 専門家は悪循環を懸念【振り返る2024宮城】
仙台放送
今年、宮城県内では多くの店舗が惜しまれつつ姿を消しました。理由はさまざまですが、専門家は「街の魅力の減衰につながる可能性がある」と懸念を示します。 仙台駅西口の複合商業施設「EDEN」。今年1月いっぱいで閉店しました。2011年にオープンし、テナント契約を更新してきましたが、建物の老朽化などを理由に契約を延長しないことを決めました。 街の人は 「東口が今にぎわっていて、ここ一等地ですよね?だから何かはできてほしい」 さらに同じ日、泉区のアリオ仙台泉も閉店。1992年にイトーヨーカドー仙台泉店としてオープン以来、31年あまりにわたって住民に親しまれてきましたが、業績不振などを理由に閉店が決まりました。 アリオ仙台 泉深井洋一店長 「31年間ご愛顧いただいたお客様と、最後まで頑張ってくれた従業員、そしてこのお店に感謝して、私から最後の言葉をお伝えしたいと思います。皆さん本当にありがとうございました」 閉店のセレモニーには数多くの利用客が詰めかけ、別れを惜しみました。 利用客 「店長さんのお話を聞いた時に涙が出てしまって。さみしいなと思って泣いてしまった。ただただ、ありがとうございましたという気持ち」 2月には、アーケードのランドマーク的店舗が長期休業に入りました。1984年、ジャスコ仙台店から業態転換してオープンした仙台フォーラスです。建物の老朽化が進み、東日本大震災による損傷の調査も行うための長期休業。 利用客 「学生のときに初売りで並びにきたなというのがここを見て思い出して。あと北京餃子で何かを食べたりとか」 仙台フォーラス 佐藤雄一館長 「フォーラスは私たちの青春でしたというすごくありがたい言葉をいただきました。本当にうれしく思っています」 相次いだ閉店や休業について専門家は。 七十七リサーチ&コンサルティング 田口庸友首席エコノミスト 「いずれも仙台市内の一等地にある集客の中核的な施設ということもあって、人を呼ぶ誘引力というのが低下するということで、町の魅力の減退にもつながるということです」 人の流れを呼んでいた施設の閉店・休業が近隣の店舗にも影響し、さらなる閉店という悪循環の恐れがあるといいます。背景の一つが、若い世代を中心とした人口減少にあります。 七十七リサーチ&コンサルティング 田口庸友首席エコノミスト 「仙台市でも2029年には人口減少に転ずるということがあって、マーケットの中長期的な縮小が懸念されているのではないか。個人消費に伸びしろがない」 大型店舗だけでなく、地域に長年愛されていた地元密着型の店舗も街から姿を消しました。仙台駅東口の映画館、チネ・ラヴィータ。テナントの賃貸契約が終了することに伴い、20年の歴史に幕をおろしました。 利用客 「見終わってすぐに建物の外に出なくても、映画の感想を自分の中で反すうすることのできるスペースがあった。すごくいい映画館だったのでとても残念です」 4月いっぱいで閉店したのは青葉区一番町の老舗書店、金港堂本店です。閉店に先立って感謝を伝えるイベントも行われました。 イベント主催者 佐藤正実さん 「金港堂さんのファンの方たち、こんなにたくさんいらっしゃるし、みなさん熱い思いがあってお越しいただいているのがよくわかる」 太白区長町で56年に渡って愛され続けてきた駄菓子屋、ハトヤは5月に閉店。閉店当日、店主の斉藤ノブ子さんは泣いている男の子に「ハトヤが閉まるのが悲しいの?どうしよう、ありがとうね。お父さんがよく来てくれていたから。ありがとう泣かないで。おばちゃんを笑顔で送って」と話しかけていました。 ハトヤ 斉藤ノブ子さん 「56年無駄ではなかったし、長かったような短かったような私の人生は子供たちと一緒に歩んで今まで来たんだなって感謝しています」 東日本大震災の発生直後、週刊少年ジャンプを回し読みできるようして全国的に大きな反響を呼んだ塩川書店も8月、惜しまれつつ閉店しました。 当時ジャンプを読んだ幕井成亜さん 「20年以上本当にありがとうございました」 塩川書店 塩川裕一さん 「どんな言葉より今こうして来てくれるのが一番うれしい」 専門家は、地元密着型の店舗の閉店も地域経済に影響を及ぼす可能性があると指摘します。 七十七リサーチ&コンサルティング 田口庸友首席エコノミスト 「地域の交流の場としてのコミュニティ機能というのが失われてしまうことで、やがて経済的にもトータルで見ればマイナスになる可能性が高いということが言える」 今年相次いで姿を消した店舗の数々。事情はさまざまですが、仙台の街の大きな変化を感じる1年となりました。
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