神田伯山、30分で1週間分の笑いを提供 本業だけでなくラジオパーソナリティーとしての魅力
<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム> 先日、講談師の神田伯山(40)を取材した。“日本一チケットの取れない”講談師が考える講談の魅力、パーソナリティーを務める、TBSラジオ「問わず語りの神田伯山」(金曜午後9時半)について同番組終了後に熱く語ってくれた。 「何回聴いても楽しい放送」をモットーとする「問わず語り-」は2回収録を行う。収録が終わったあとに取材部屋に入ると、「もう2度収録を行ってきたからこれが本番みたいな感じね」と笑顔を見せた。 取材時間は同番組の尺とほぼ同じ約30分間。インタビューの内容を文字に起こすと約8500字。過去に行ったどのインタビューよりも長かったが、芸の域にまで高められた「愚痴」と「ぼやき」が多く、約3000字は書けない話。だが、その場にいた全員が爆笑する内容だった。 中でも修行期間のエピソード「おじいさんたちに聞こえるか聞こえないか、絶妙な音量でぶつぶつ文句を言ってみたり…」「謝らずにずっと黙っていたり…」「打ち上げに誘われなくて、1人ボーリンクで良いスコアを出しちゃった日」など、「Fランク前座」時代の話は秀逸な面白さだ。 数年前は本業の講談だけではなく、メディア露出も多かった。北海道から沖縄まで毎日のように地方へ足を運びながら、メディア出演もこなし「稽古をする時間もないくらいだった」という日々は「長くは続かないからメディア露出も必要」と割り切り、講談を広めようと考えた時期だ。「前座モードだった」というメディア出演の際は「楽屋に用意されているお弁当を厳しくジャッジしていた」と笑わせた。 毒舌トークで笑いを誘う一方、講談の魅力は、恥ずかしながらこれまで講談を聴いたことがない記者にも丁寧に教えてくれた。「昨今でいう推し活としても良い」という。是非今年中に足を運ぼうと思った。 「実は伝統芸能はリンクしていて、講談の沼にハマるだけで、ドデカい伝統芸能の沼に1歩足を踏み入れて、1度ハマると生涯の友になると思うんです。来られない時もあると思います。でも講談は生涯やっている。いつでも追いかけられる。常に終わらない芸能です、生きている限り。亡くなっても弟子が継いでくれると思います」 3年前から記者は「問わず語りの神田伯山」(17年4月に「神田松之丞 問わず語りの松之丞」として放送開始。20年2月にタイトル変更)を聴いていたが、取材を機にそれ以前も聞いてみようと、TBSのポッドキャストで放送開始時からの過去放送を聴いた。年々声が大きくなっている気がするが、寄席のエピソードやメディア出演での出来事、女子高生リスナーの悩み相談など常に面白い。 フジテレビ系「ザ・ノンフィクション」で放送された「令和の婚活漂流記2024」を熱く語った2月の放送回(前編後編で放送)は個人的に今年一番。笑い屋シゲフジの笑い声も相まって、本編を超えてしまっている。 暗いニュースが多い昨今、わずか30分で1週間分の笑いを提供してくれる「問わず語り-」をぜひ聴いてみてほしい。