「自分がどういう選手か。全然証明できていない」“攻撃的SB”を自負する菅原由勢の本音。冨安健洋の存在も刺激に「僕とは歴然とした差がある」
伊東と共に右サイドを制圧
2023年は日本代表で7試合に出場し、伊東純也(スタッド・ドゥ・ランス)、堂安律(フライブルク)、久保建英(レアル・ソシエダ)といった異なるタイプの右サイドアタッカーと絶妙の縦関係を形成した菅原由勢(AZ)。 【PHOTO】2024年元日開催のタイ戦に挑む日本代表招集メンバーを一挙紹介! とりわけ、9月の4-1で勝利したドイツ戦のパフォーマンスは圧巻だった。 直前の夏の欧州移籍期間にステップアップが叶わなかった菅原は、その悔しさを胸に秘めつつ、「自分の現在地を測れる試合になるのかなと。(対面に位置する)ニャブリはバイエルンという世界トップでやっているなかで、僕の名前を知らない人が大多数なので、正直、失うものは何もない。1対1になったら本当に全力で止めに行きたいし、ネームバリューとかは関係ない」と前日から闘志をむき出しにしていた。 そして、試合が始まると、スタートから伊東と共に右サイドを制圧。先制点をアシストし、守備面でも効果的なポジショニングと読みを披露。ニャブリに仕事らしい仕事をさせなかったのである。 「いろんな経験をしてきたなかで、あれだけのトップクオリティを持った選手、国と対戦するのは僕自身、初めてだった。ドイツも2022年のカタール・ワールドカップで日本に負けたり、(ハンジ・)フリック監督の立場が微妙だったりと日本に負けられないなか、僕らも負けられない状況で、ピッチ外のしがらみがたくさんある試合だったんですけど、自分はピッチ上のことしか考えてなかった。『この相手に何ができて、何ができないのか』を探りに行こうと思っていて、結果的には点に絡めて勝てた。それは非常にポジティブなことだったと思います。 だけど、いざふと我に返った時に、彼らは5大リーグでチャンピオンズリーグにも出場するトップクラブでプレーしている。一方の僕はまだオランダリーグにいるんですよね。『何をしてるんだ、自分は』と感じたし、次の日からは『まだまだ全然、ダメだな』『自分はこんなところにいちゃダメだ』って思いになりましたね」 菅原がなぜ危機感を覚えたのか。それは、ドイツ代表の主力との日常の違いに目を向けたからだ。バイエルン・ミュンヘンなどビッグクラブにいる彼らと、AZにいる自分はやはり違う。その現実から彼は目を背けることができなかった。 「次にドイツと1年後か2年後に試合をするとしたら、彼らはその間、トップリーグでやり続けているのに、僕は現状、オランダリーグにいる。もちろん移籍するかもしれませんけど、今のままでは普段の環境の差がどんどん開いていくのは間違いないんです。 オランダに来て、いろんなことを経験したから、ドイツ相手にああいうプレーができたのはポジティブですけど、上のレベルに行くには何かを変える必要がある。課題もまだまだ多いんですよね。 ドイツ戦で言うなら、組織的守備をしてきた相手に対して、どういう判断でボールを持つのか、どんなポジショニングで攻めに関与するかというのは改善点の1つですね。守備面でも僕自身の守備範囲をもっと広げられていれば、後半に5バックにする必要がなかったかもしれない。 チーム戦術としては5バックにしたことは正解だったし、結果も出ているので、何も異論はないんですけど、僕個人としては全体的にレベルアップが必要だなと痛感しました」と、菅原はどこまでも貪欲なのである。
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