<映画評>美術鑑賞とパリを楽しむ『万能鑑定士Q モナ・リザの瞳』
累計330万部の松岡圭祐による推理小説『万能鑑定士Qの事件簿』のシリーズの映画化。綾瀬はるか演じる主人公の万能鑑定士Q・凜田莉子は、類い稀な観察力と豊富な知識で、すべてのものを鑑定することができる能力の持ち主。しかし、彼女は高校時代まで万年学年最下位。落ちこぼれというか、“天然”というか、ほんわかしたタイプだったが、上京をきっかけに特殊能力を身につけていくことになる。演じている綾瀬はるかのイメージと非常に合致しているのではないだろうか。 【予告編】『万能鑑定士Q』
ダ・ヴィンチの名画『モナ・リザ』が40年ぶりに来日することになったこと、その臨時学芸員として凜田莉子に白羽の矢が立ったことから、ストーリーは展開する。凜田莉子が解明していく謎には、すべて説得力があり、また、伏線もいくつか用意されているので、リズムもよく引き込まれていく。 この作品の中で、『モナ・リザ』に隠された謎は、どこまでがフィクションなのか、どこまでがノンフィクションなのか、観ていくうちに分からなくなるほど、手が込んでいる。名画『モナ・リザ』を通じて展開されるだけに、アート好きにはたまらない作品ではないだろうか。もちろん、ルーブル美術館への向かう道のりで映し出されるパリの美しい街並みも魅力的だ。謎解きの作品ではあるものの、綾瀬はるかの持つ雰囲気が、適度に緊張感をなごませてくれるのも、この作品の特徴だろう。 ■公開情報 監督:佐藤信介 原作:松岡圭祐『万能鑑定士Qの事件簿』シリーズ(角川文庫刊) 脚本:宇田学 (C)2014映画『万能鑑定士Q』製作委員会 2014年5月31日より公開 動画URL:http://www.youtube.com/watch?v=AJEMa78oUrU