ディズニー『ウィッシュ』プロデューサー陣が語る生田絵梨花ら日本版キャストの魅力「生田さんがアーシャを自分のものにしている」
ディズニー創立100周年を記念した最新アニメーション映画「ウィッシュ」が12月15日に公開された。同作は、「アナと雪の女王」のスタッフ陣によるディズニー創立100年の歴史の集大成となる新たなドラマティック・ミュージカル。劇場公開前に行われた来日イベントも盛況で、期待値の高まった状況下での公開となった。このほどプロデュースを務めたピーター・デル・ヴェッコ氏とフアン・パブロ・レイジェス・ランカスター・ジョーンズ氏に、作品の魅力、日本版キャストの魅力などを聞いた。(※取材は公開前に来日した際に実施) 【写真】イメージぴったり!生田絵梨花が「ウィッシュ」カラーの鮮やかな衣装で満面の笑み ■「出来栄えに満足しています」 ――12月15日に公開となりますが、今の心境をお聞かせください。 ピーター氏:先日(12月6日)のスペシャルイベントは、優雅な音楽を交えた本当にすてきなイベントでした。日本版で主人公のアーシャ役を務めた生田絵梨花さんに歌唱してもらったんですが、そのパフォーマンスはすごく意味があったと思いますし、ワクワクする期待感が上がっていくのをひしひしと感じました。いよいよ公開されるということですが、日本の声優キャストの皆さんも素晴らしい方ばかりなので、出来栄えに満足していますし、私としては公開を楽観的に構えています。 フアン・パブロ氏:私もピーターさんに同意するところが多いのですが、生田さんの歌に圧倒されました。歌をちゃんと自分のものにして、日本のアーシャというのを作り上げてくれているのを感じました。きっと日本の皆さんにも受け入れてもらえる作品だと思いますし、公開後の反響が楽しみです。 ――日本のディズニーファンの方は字幕版と吹替版の両方を見る方も多いと思うので、アリアナ・デボーズさんの“アーシャ”と生田さんの“アーシャ”、それぞれの魅力も教えてください。 ピーター氏:アリアナ・デボーズさんは長く過ごして親しくさせてもらっている方なので私たちも安心している部分があります。日本版に関しては、私は日本語が分からないので感覚的なものですが、生田さんがアーシャを自分のものにしているというのは私も感じました。そして、今回のイベントを通して、日本のお客さんの反応を見ていると、その感覚は間違ってなかったことが分かりましたので、日本のアーシャは生田さんにお任せして問題ないと安心しています。 ――ピッタリですよね。 ピーター氏:生田さんから、この役を演じるのが彼女のウィッシュ(願い)だったということを直接聞きましたし、私もアーシャにピッタリだと思っています。 ――「ディズニー作品が好き」ということも以前から生田さんは公言していました。 フアン・パブロ氏:それは素晴らしいことですね。うれしいです。 ――生田絵梨花さんをはじめ、バレンティノ役の山寺宏一さん、マグニフィコ王役の福山雅治さんなど、日本版キャストの方全員がハマり役だと感じました。 フアン・パブロ:アーシャは“共感できるキャラクター”で、街の人たちや見ている人たちの思いを代弁するような人物です。一方、マグニフィコ王はカリスマ性がありながらも極端な性格の人物でもあります。幅広い実力が求められます。 ピーター氏:映画を作る作業は企画から始まり、脚本が出来上がったりしていく長い過程があります。声優を決めるというのは、その中では最後の方になりますので、私たちも作っていく中で「こういうイメージかな」というのが出来てきますので、そのイメージが声優を決める基準になっていたかもしれません。 フアン・パブロ氏:日本版のキャストもそのイメージに合う方が見つかり、選ばせてもらいました。生田さんも福山さんも歌が上手というのも大きかったですね。 ■おとぎ話の世界に入り込めるような映像美 ――ディズニー作品はどれも映像が美しく、音楽も素晴らしいのですが、「ウィッシュ」を制作するにあたって、特にこだわった部分や新たにチャレンジしたことがあれば教えてください。 ピーター氏:今回の作品は絵本の水彩画をモチーフにして取り掛かりました。絵本を開くと中に挿絵がありますよね。紙の素材感も含めて、見てくれる人にそういうものも感じてもらいたいと思ったんです。見る人もおとぎ話の世界に入り込めるようなものを。そのためには新しいテクノロジーが必要でした。それによって3Dと絵本の水彩画のような2Dをうまく表現できたと思います。 ――ちなみに、ディズニー作品に登場するキャラクターの中でのお気に入りを教えていただけますか? フアン・パブロ氏:たくさんあり過ぎて(笑)。その中でもお気に入りとなると、「眠れる森の美女」(ディズニープラスで配信中)の3人の妖精(メリーウェザー、フォーナ、フローラ)ですね。その妖精たちはとても愉快で、ウィットに富んでいて、問題があっても協力して解決していく姿に引かれます。 ピーター氏:自分が関わった作品はとても身近なもので愛着もすごくあるので選ぶのは難しいですが、今の私のお気に入りはやっぱり“アーシャ”ですね。彼女は自分の家族だったり、地域の人たちのためだったり、誰かのために動いているので、その精神に引かれます。 ――最後に日本のファンの方に向けて見どころも含めてメッセージをお願いします。 フアン・パブロ氏:この作品はディズニー作品のファンの方へのラブレターというつもりで作りました。皆さんが願いを叶えて、強く願えば叶ったり、意味のある行動につながったりする。そういうことが伝わればいいなと思っています。 ピーター氏:私の“願い”になりますが、家族や友人など、みんなでご覧いただきたいと思っています。とにかく圧倒させるビジュアルはシネマスコープの広いスクリーンでみんなと一緒に見ると、気持ちの高鳴りも影響します。大きな声で笑ったり、いろんな感情を出しながら見ていただけたらうれしいです。そういう楽しみ方ができる作品になっていますので、ぜひ大勢で大きなスクリーンで楽しんでください。 ◆取材・文=田中隆信