ボッシュがバイク用 先進運転支援システム×6種を公開! ライダーの楽しさと安全を両立する技術を試してみた
もっともRDAの恩恵を感じるのは、(言葉は悪いが)前走車のドライバーが下手くそな場合だ。今回はボッシュのスタッフが運転するクルマの後を追って走ったのだが、ワインディングロードではあえて挙動の安定しないクルマの運転を再現してくれた。たとえばコーナーのはるか手前からブレーキをかけられたり、立ち上がりでほとんど加速をしてくれない……など。 多くのライダーにとって、前走車とリズムが合わないせいでスロットルを戻すことを強要されるのは、けっこうなストレスになるはずだ。 そんなときでも、スロットル一定のまま近付いていけば、あるいは追従していれば自動的に車間距離を保ったまま減速してくれる(テスト車の仕様では速度に合わせたギヤチェンジは必要)し、立ち上がりでも前走車に合わせてスムーズに加速してくれる。これを手動スロットルで合わせようとした場合、どうしても前走車とのリズムのズレによってギクシャクしがちになるが、RDAを使っていると大きなズレが生じる前に制御が介入してくれるので、ほとんどストレスを感じない。 これが本当に楽ちんなのである。前走車にイメージと違う加減速をされても、システムは人間の反応速度よりも早く制御してくれるので、たとえば「あっ、イレギュラーな減速をされたな」と気づいたときにはすでに自車も減速しはじめている。車間距離が不用意に縮まりすぎることがないのだ。 また、ACCの場合、前走車との距離や速度域によってはライダーのイメージよりも強く加速する場合があり、状況によっては思ったほど気楽に使えないものだが、RDAの場合、加速はあくまでもライダーの右手に握られている。 言い換えれば、ACCの“前走車に近付いたら車間距離を一定以上に保つ”という機能だけを都合よく利用し、それ以外は全てライダーがコントロールできるわけだ。この“ライダー自身に任されたアクティブさ”と、“要所のみ働く自動制御”との塩梅が、とても好ましかったのである。 ちなみに、RDAは強めのブレーキング(急ブレーキ未満)までこなしてくれるほか、なんと速度ゼロまで対応し、前走車に続いて完全停止することも可能だった。自動遠心クラッチ仕様ゆえにエンストする心配もなかったわけだが、これは電子制御クラッチを持つオートマの一種であるAMTとの組み合わせで、さらに威力を発揮しそうだ。 ──ライダーが前走車との車間距離に集中していれば、RDAに近い動きは可能かもしれないが、そこに意識を割くとアクティブな走りは楽しめないし、景色を見る余裕もなくなる。何より四六時中それでは疲れてしまうだろう。 個人的な感覚として、RDAはマニュアルクラッチ&MTでも成立しそうに思えたが、それを実現するかどうかは各バイクメーカーの考え方次第ということになるだろうか。