熊地区(浜松天竜区)再びにぎわいを 25日「宿場フェス」 台風被害1年、住民一丸
2023年6月の台風2号に伴う大雨で被害を受けた浜松市天竜区熊地区を盛り上げようと、住民一丸で企画したイベント「熊(くんま)宿場フェス」が25日午前10時~午後4時、道の駅「くんま水車の里」周辺で開かれる。台風後の約1年間、忍耐を余儀なくされてきた中山間地域のにぎわい創出を図る。 収穫したばかりの新茶や山野草など山の幸に加え、香り豊かなみそや漬物、五平餅といったおなじみの商品を販売する。「1日商店街」と題して和菓子やビール、メダカすくいを楽しめるコーナーも設ける。歌手の畑中摩美さんらがライブ演奏を披露し、屋内に切り絵や木製おもちゃ体験の場をつくるなど、幅広い層に向けて多彩なプログラムを用意した。 山あいの熊地区は江戸時代、秋葉街道や鳳来寺街道が交わる宿場町として栄え、現在も木造家屋の町並みが往時の面影を残す。昨年6月の台風で、浜松の市街地方面などにつながる県道天竜東栄線に大規模な陥没が起き、交通が寸断された。利用できる迂回(うかい)路の道幅は狭く、不便を忌避して道の駅などへの客足は遠のいた。道の駅は直近1年間の売り上げが、5年前の半分ほどに落ち込んだという。 熊宿場フェスはNPO法人夢未来くんまの会員らでつくる団体「健康長寿の邑くんま」が主催し、NPO法人「耕」や若者有志でつくる「プロジェクト熊人(くまんちゅ)」などが協力する。ノルディック・ウオークやそば打ち体験などを継続してきた各団体が結集した背景には、衰退加速への切実な危機感がある。 夢未来くんま理事の石打良子さんは「夏場には県道が復旧する期待がある。地域の魅力を再発信することで来訪者とのつながりを保ち、広げたい」と話す。
静岡新聞社