「沖縄は世界一、ずっと住みたい」 在住47年のエジプト出身者 文化交流やサッカー指導に情熱
【宜野湾】宜野湾市大山区老人クラブ(呉屋勉会長)は11月24日、同区公民館で11月定例会を開き、同市に住んで47年のウチナームークで、エジプト出身のエルサムニー・イブラヒムさん(71)の講話「エジプト島ぐわぁー」を聞いた。よどみない日本語と時折のウチナーグチ、ユーモアたっぷりの話に会場は終始大きな笑いに包まれた。(翁長良勝通信員) この記事の他の写真・図を見る エルサムニーさんは1974年、エジプトのカイロ大学を卒業。在学中からプロサッカー選手として活躍していたが膝を痛め、引退を余儀なくされた。日本で外語大学の教授をしていた父の誘いもあり76年、24歳で来日。東京の貿易会社に勤め、しばらくして大山にある支店に配属された。 「沖縄の人の日常会話は英語だから」が転勤の理由だったと振り返る。「出勤すると英語を話せる人はほとんどいなかった」と苦笑いした。 ホームシックになり小さな家電店でラジカセを買おうとすると、店主の高齢女性が「プレゼントするよ」。さらに茶と菓子も振る舞われた。見ず知らずの人にプレゼントを贈るという行為が信じられず、感激したという。食堂でもお代わりを無料で何度もサービスされるなど、沖縄の人の親切が身に染みた。 10年後に独立して起業し、大山小の近くに住んだ。体重増加で再び膝を痛め、浦添市内の病院に入院。病院食はイスラム教で禁止されている豚肉が多く使用されており、口にできる食事は少なかった。毎日見舞いに来る同室の高齢男性の娘が後に妻となる恵子さん(68)で、ほぼ毎日食事を届けてもらった。2人は意気投合して結婚し、2男1女をもうけた。 宜野湾市の文化交流事業にも関わるようになり、とりわけサッカーの指導と青少年育成に情熱を注いだ。会社経営もうまくいっていたが、沖国大から「アラブ文化」の専任講師の依頼を受けて会社を畳み、大学講師を22年間務めた。 「47年間沖縄にいるが、一度も偏見や差別に遭ったことがない。沖縄は世界一すてきな所、私はウチナーンチュ! ずっと住みたい」と叫び、高らかにガッツポーズした。