「24年秋ドラマ」“期待度ランキング”上位3作品、第1話は実際どうだった? 徹底レビュー
■視聴者が観たいものを熟知する作り手による盤石の続編『チェイサーゲームW2 美しき天女たち』
ランキング第2位に入ったのは、女優の菅井友香と中村ゆりかがダブル主演を務める『チェイサーゲームW2 美しき天女たち』(テレビ東京系/毎週木曜24時30分)。 本作は、「LGBTQ+」「労働問題」「セクハラ」など社会課題に鋭く切り込んだ、テレ東初の“レズビアン”を主役にした復讐愛憎劇。今作では、前作『チェイサーゲームW パワハラ上司は私の元カノ』では語られなかった樹(菅井)と冬雨(中村)が別れた後から再会するまでの1年の空白期間、そして再会後の2人を軸に繰り広げられるさまざまな人間模様を描く。 前作の最終回で悲劇的な別れが描かれた菅井演じる樹と、中村演じる冬雨。第1話の幕開けは、街で偶然助けた若い女性に冬月の面影を見てしまうなど、約1年が経とうとしながらも冬月に対して未練たらたらの樹の姿が描かれる。 通常なら第1話のラストになってようやく冬雨が登場して、第2話への期待感を高めてもいいものだが、本作の作り手は視聴者が見たいものがよく分かっている。樹と冬雨の再会は、2人の両思いをアシストする人間ができすぎている冬雨の夫(河合朗弘)の尽力もあり、第1話の序盤であっけなく実現。夫は娘を連れてそそくさと外食へ出かけていき、冬月と樹は離れ離れになっていた1年の空白を埋めるかのように、甘美な百合展開へ…。 ただ、これでめでたしめでたしではストーリーが完結してしまうので、第2話に向かう終盤では、2人の恋の新たな障害となりそうな人物も登場し、ドラマの展開を盛り上げる。樹と冬月のイチャイチャが見たい! そんな視聴者の願望を熟知している作り手による、盤石の続編の幕開けだったと言える。
■奈緒の本気ボクシング描写と“金髪男”玉森が楽しみな『あのクズを殴ってやりたいんだ』
そして、ランキング第1位だったのは、女優の奈緒が主演し、Kis‐My‐Ft2の玉森裕太が共演する『あのクズを殴ってやりたいんだ』(TBS系/毎週火曜22時)。 今までラブコメを中心に数々のヒット作を生み出してきたTBS“火10”がこの秋送るのは、恋にボクシングに本気で向き合うヒロインの姿を描くラブコメディー。結婚式当日に彼氏に逃げられてしまった奈緒演じる主人公・佐藤ほこ美が、人生どん底のタイミングで金髪の謎の男・葛谷海里(玉森)と出会ったことをきっかけに、「もうクズな男に泣かされるのは嫌だ!」と自分を変えるためにボクシングを始める。 第1話では冒頭から、奈緒演じるほこ美のボクシングシーンが描かれる。コーンローに編み込んだ少しイカつい髪型の奈緒が激しい試合シーンを演じる。メイクではあるものの、目尻にできた生々しい切り傷は、奈緒がこれまで一度も演じたことがないような新境地を予感させる。 “火10”名物といえる「キュンキュン描写」もふんだんに盛り込まれる。奈緒の相手役となるのは、玉森演じる謎めいた“金髪の男”。ひょんなきっかけで知り合い、少しずつ距離を縮めていく2人。第1話のハイライトは、急きょ実現した“夜デート”シーンだ。ラーメン屋台にゲームセンターと庶民的なコースがほほ笑ましいが、ここでクールな金髪男が、にんにくの入ったラーメンを食べるのをためらうほこ美に「この後のことをなんか想像したでしょ?」といきなりのキラーパス。そのほかにも、女心を狙い撃ちする謎めいた金髪男の言動一つ一つにほこ美(と視聴者)はノックアウト寸前。トドメは、ゲーセンのクレーンゲームで獲ったプライズのぬいぐるみの1つをほこ美に渡し、「おそろ」とぼそり。もうやめて! ほこ美と視聴者のライフはゼロよ! え、何なんですか? 殺す気ですか? という血糖値上がりっぱなしの第1話だが、最後に待っていたのは落とし穴のような展開。「あ、クズ男って“結婚式から逃げ出した彼氏”だけじゃなかったのね」と膝を打つ鮮やかなミスリードが決まり、第2話以降にほこ美と金髪男がどうなっていくのか、期待値が上りきったところで第1話は終了する。 期待ランキング3作品をチェックした。どれも目が離さない第1話となっていた。あなたはどれを見る? ドラマ『宙わたる教室』はNHK総合にて毎週火曜22時放送。『チェイサーゲームW2 美しき天女たち』は、テレビ東京系にて毎週木曜24時30分放送。『あのクズを殴ってやりたいんだ』は、TBS系にて毎週火曜22時放送。