アメフト部大麻問題に揺れる日大で「廃部の方針」決定前夜に父兄あてに届いた「お詫びの手紙」の中身
12月4日、日本大学が都内で会見を開き、アメリカンフットボール部(愛称「フェニックス」)の部員による薬物問題における大学側の対応について説明した。焦点となっている廃部問題については林真理子理事長(69)は理事会で審議継続中であるとして「結論でなく、一つの方針」だと述べた。 【全文公開】「廃部方針決定」の直前に日大が父兄に宛てた「詫び状」 「1日には最初に逮捕された北畠成文被告(21)の初公判が開かれ、北畠被告は『副学長がもみ消すと思っていた。少し安心した。それぐらいの力があるのかなと思った』と大学側に対応を委ねていたことを証言しました。弁護側は『被告人は自首する機会を大学側に奪われている』と指摘しています。やはり大学とチーム、大人達の杜撰な判断と対応が大きいのではないか」(アメリカンフットボール関係者) 28日に大学側がアメフト部廃部の方針を決定したことについて、学生や父兄をはじめ関係者からは不信の声があがっている。 日大アメフト部の大麻問題については、今年の7月に日大本部、各報道機関、日本アメフト協会、関東アメフト連盟あてに告発文書が送付されていたという。7月6日、澤田康広副学長(59)らがアメフト部寮内で植物片を発見し、12日後に警察に相談。警察の捜査で乾燥大麻と覚せい剤の成分が入った錠剤が出てきたことから、北畠被告が逮捕された。その後、北畠被告による証言を元に他の2名が逮捕、1名が書類送検されている。 チームは夏から活動を自粛している。関東学生連盟からは「逮捕された学生以外の部関係者全員が潔白であると保証できない」等の「4つの懸念事項」を理由に当面の間の資格停止処分となった。秋のリーグ戦には出場できず4年生は現役引退。活動はできないものの、新チームは3年を中心に毎日ミーティングをしてチームの立て直しについて話し合っていたという。そんな中、11月下旬に日大から現役学生の父兄宛てに〝詫び状〟が届いたのだ。 「今月27日に日大から郵送物が届いて、そこには、《お子さま方の学生生活につきましては、影響が出ないように全力をあげて対応にあたっていく所存でございます》と書いてあったんです。ウチの子は運動部に入ってないけど、アメフト部の子達も学生でしょ? その子達は、廃部になったら影響でるんじゃないの?」(日大に通う学生の父兄) この「本学アメリカンフットボール部薬物事案に関するお詫び状」という文書は10月30日の第三者委員会による調査報告に関するもので、もちろんアメフト部員の父兄にも届いている。 そして大学がアメフト部を廃部する方針を決めるといったニュースが夜に飛び込んできたのはその父兄が〝詫び状〟を受け取った翌28日の夜のことだったという。 実は10月9日の時点では、大学側はアメフト部を再生させる方針だった。それを受けて前述のとおり新チームのメンバーは毎夜ミーティングを重ねるなど、再生への取り組みを続けてきたという。この〝詫び状〟を出したにもかかわらず、廃部の方針を決定したということは、大学側がそんな彼らを裏切ったばかりか、学生としても切り捨てたように取れる。 これまで日本一になると強い信念を持って活動してきた現役のアメフト部員達は何を目標に残りの大学生活を送ればいいのか? さらに「フェニックスで日本一を目指そう」と声をかけられて来年進学を予定していた高校生達は、現在不安と怒りを持っているだろう。 高校生は、先月まで秋季大会に臨んでおり、高校日本一を決めるクリスマスボウルは12月24日に行われる。今からフェニックスと同じアメフトレベルの大学に変更するにも大学入学共通テストを受けて挑まなければならないし、それには時間が足りない。アメフトのチームレベルを落としてでもアメフトのために大学を選ぶか、アメフトを諦めて進学先を探すか。先行きはまったく不透明なのだ。理事長や学長ら大人達の処分は後で勝手にやればいいだろう。子供達に道を示すことが第一優先なのではないだろうか。日大アメフト部のOBは次のように語る。 「OB会は、真面目に日本一を目指してきた選手達を救うことを一番に考えていた。ただ関東アメフト連盟から指摘された4つの懸念事項をクリアしていないことは問題だと思う。しかし残っている学生と選手達を救うことと同時に連盟が懸念している問題を解決、クリアしていこうとしていた。そんな中での廃部決定は非常に衝撃でした。でもOB会にはそれを覆す権限はないんですよ……」 今回の会見にも中村俊英監督が出席することはなかった。これまでにもチームの監督や部長による会見はなく、チームの〝大人〟が誰一人出てこないことにも疑問を持っている人は少なくない。生徒や父兄をはじめとする関係者の大学側への不信は募っている。 「中村監督は、大学内の競技部の監督会議など見下しているのか、参加することはなく、かつての内田正人監督(68)のように上昇志向が強い人だと思われていました。でも、他競技部の監督達は廃部はしない方向で話していましたよ。それで廃部の方針になってしまっているのに、なんで、彼は出て行かないのだろう? という声も上がっています。ただ『中村監督は自身で会見をするべきでは、と大学側に訴えたものの、開かせてもらえなかった』という話も聞いています」(前出フットボール関係者) 今回の会見では、現役の学生達やこれから入学予定の生徒たちの不安と不信感は強まっただけではないだろうか? 大学・チームの大人達は自分達の保身を捨て、学生たちへのサポートに専念してもらいたいものである。
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