国内景気は3カ月ぶりに「改善」、観光産業が押し上げ
TDB景気動向調査(全国)― 2024年3月調査 ―
帝国データバンクが2024年3月の国内景気に関する調査を実施したところ、景気DIは前月比0.5ポイント増の44.4となり、3カ月ぶりに改善した。 日本銀行によるマイナス金利の解除および長短金利操作(YCC)の撤廃など、金融政策の正常化が始まったなか、国内景気はインバウンド消費が活発なことに加え、国内の観光産業も好調だった。 個人向けサービス業を中心に個人消費関連が上向いたほか、一部自動車メーカーの工場再開や北陸新幹線の延伸などは地域経済を押し上げた。 一方で、天候不順による春物需要の先送りは景気を下押しした。また、物価高にともなう仕入単価上昇の再加速や、不十分な価格転嫁などによる企業収益への影響はマイナス材料だった。
10業界中8業界で改善、新年度を控え個人消費が景気を押し上げ
業界別では、インバウンド需要のほか、春休みを迎え「旅館・ホテル」など個人消費関連の業種が上向き10業界中8業界が改善した。 また卒業や異動など新年度に向けた季節需要も押し上げ要因だった。他方、金利の引き上げや仕入単価の高止まりなどを不安視する声も多い。 なかでも、『サービス』(51.0)は2カ月連続で改善した。底堅いインバウンド需要や春休みを迎え、「旅館・ホテル」は2カ月連続、送別会など宴席が増えてきた「飲食店」は3カ月ぶりにそれぞれ改善した。また人出の増加とともに「娯楽サービス」や、繁忙期を迎える自動車教習所などを含む「教育サービス」も3カ月ぶりに上向いている。 他方、インボイスなどの制度改正にともなう需要に落ち着きがみられる「情報サービス」は50以上を維持しつつも3カ月連続で悪化した。 また、『不動産』(49.3)は3カ月連続で改善。「駅近物件を中心に販売状況が好調」(建物売買)など都市部を中心に堅調な不動産ニーズが押し上げ要因となった。加えて、3月から4月にかけ異動や新生活の影響で住宅需要が高まっている。 他方、新築物件の高額化や、マイナス金利解除による住宅ローン金利の上昇を危惧するなど、消費者の購買意欲の先行きを懸念する声がいくつも聞かれた。