“闇バイト”は言葉が軽すぎる!?印象以上に事態は重大「定義を曖昧にすることで刑の重さが隠れている」
■文面の裏を読み取れず引っかかるケースも
SNSなどを中心に勧誘が行われる闇バイトだが、募集の文言がまともなものなのか、それとも闇バイトなのか、判断ができない者も少なくない。日頃から犯罪に関する言葉に触れる玄氏は「中高生などはよく言葉を知っている。また『パパ活』なんかも今は名称が変わっているし、みんな案件、案件という。こっちから聞いていかないとリアルタイムの会話についていけなくなる」と、どんどんと言葉も変化している。また、うっかり闇バイトに引っかかってしまうケースについて、佐々木氏は「単なる推測だが」とした上で、「10年ぐらい前に国立情報学研究所が中高生向けに読解力のテストをしたら、わかっていない人が3割いた。文章は読めているけど、意味がよく分かっていない。この3割は大きくて、中学生や高校生で3割いるということは、大人になって急に読解力が高まるわけはないから、人口の3割くらいはいるということ。文章としては読めるけど、その裏に何があるのか理解しないまま、金を受け取ってしまう人は一定数いるし、SNSで騙されやすくなっている」と、誘い文句を疑うことなく、気づけば犯罪に巻き込まれているというケースを示した。 また社会活動家の山本昌子氏は、金銭的に苦しんで闇バイトに関わる若者の心理を代弁した。「借金が10何万円あって、それで自ら命を絶ってしまう子がいる。借金を抱えて、世の中に責められる、電話が来るというのは自分を想像以上に責めるもの。自ら(闇バイトに加わる)ように見えるような子でも、本当は見えない位置ですごく苦しみがあると思う」と、軽いノリではなく、窮地を脱するために手を染めてしまうこともあるとした。類似の例としては、性風俗で務める女性をあげ「性的な仕事に行く子も、ちょっと経ってから『実は止めて欲しかった。誰かに自分を大事にしてと言ってほしかった』というのを聞いた時もあった」と、経験を語った。
■「闇バイト」という言葉が軽い?「問題は用語が示しているオブラート感」
闇バイトに手を染めてしまう若者が増える中、この「闇バイト」という表現が、多くの加害者・被害者を生んでいるという意見もある。佐々木氏は「闇バイトというオブラートに包んだ変な言葉を誰が言い出して、広めているのかすごく気になる」と指摘した。「闇バイトというとすごく幅が広い。ちょっとした違法な金を運ぶ世界から、オレオレ詐欺の受け子・出し子、最後は強盗殺人になっている。問題は用語が示しているオブラート感。売春なのに何か援助交際とかパパ活という。パパ活というと単に一緒に食事するだけもパパ活だが、売春も含まれる。そうすると何か定義を曖昧にすることによってその中に含まれている刑の重さがうまく隠されている」と、言葉の印象によって事の重大さが薄れていると述べた。 また「闇バイトは明らかにそう。強盗殺人なんて無期懲役と死刑しか量刑がない。この前捕まった20歳そこそこの若者も絶対無期になって、30年以上は出られない。用語でオブラートに包みすぎている。(闇バイトなどに)関わっている世界の人たちが隠語のとして使うのは別に構わないが、あまりメディアが乗っかって『闇バイト』と言わない方がいいのでは」と、重大犯罪を含むものが軽く伝わりかねない状況に警鐘を鳴らしていた。 (『ABEMA Prime』より)
ABEMA TIMES編集部