ECBは50bp利下げも、インフレ率2%未満の予測なら-シクルーナ氏
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)と米連邦準備制度理事会(FRB)がいずれも利下げをしなければ、低迷するユーロ圏経済は双子の打撃に見舞われることになると、政策委員会メンバーのシクルーナ・マルタ中銀総裁が述べた。
ユーロ圏の「経済が好転し、今年後半に回復するという想定は、金融政策が現在より景気抑制的でなくなるという仮定にも基づいている」と、シクルーナ氏は18日のインタビューで語った。
「もしECBが利下げを行わず、米国の景気抑制的な金融政策スタンスが世界の金融情勢に影響を与えれば、ユーロ圏経済にとって二重の打撃となるだろう。ECBの金融政策は非常に景気抑制的であり、インフレ低下に伴い、実質的にはさらに引き締まっている」と述べた。
ラガルドECB総裁は、1年以上停滞した欧州経済に「明らかに回復の兆しが見られる」と述べたが、回復は脆弱(ぜいじゃく)だ。利下げの見通しがある程度の希望をもたらしてはいるものの、中東情勢の緊迫とFRBの行動が大幅に遅れる懸念が浮上、ECB当局者は警戒を強めている。
ユーロ圏の消費者物価上昇は減速が続き、いまや2%の目標が視界に入った。これによりECBは6月の利下げを予定することが可能になった。
シクルーナ氏は「性急にインフレに対する勝利を宣言すべきではない。しかし、引き締め過ぎてインフレ率が低くなり過ぎ、2%に戻すのに苦労するような状況にもなってはならない」と呼び掛けた。
シクルーナ氏は、経済予測でインフレ率が目標を下回ることが示唆される場合、当局者はより強力な行動を取ることをためらうべきでないと論じた。
「ECBの基本シナリオが現実になるならば、6月に25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを行うのが適切かもしれない。しかし、インフレ率がさらに下振れし、2025年のインフレ率が1.7%か1.8%にとどまるという予測が出た場合、50bpの利下げが必要になるかもしれない。その場合は50bp利下げに踏み切るべきであり、それを遅らせるべきではない」と語った。