『リアリティ』FBI尋問の始まりを捉えた冒頭映像公開 原一男ら著名人の絶賛コメントも
11月18日に公開されるシドニー・スウィーニー主演映画『リアリティ』の冒頭映像が公開された。 【写真】主演を務めるシドニー・スウィーニー 本作は、トランプ政権を揺るがす疑惑をリークし、“第2のスノーデン”と呼ばれた女性の実際のFBI尋問音声記録を完全再現した映画。 2017年アメリカ。国家安全保障局(NSA)契約社員のリアリティ・ウィナーが買い物から帰宅すると、見知らぬ2人の男性に声をかけられる。笑顔を向け自らFBI捜査官だと名乗る彼らは、ある事件に関する捜査を行っていると告げる。「引っ越してどのくらい?」「ペットはいる?」など、気さくで穏やかな口調のまま何気ない質問を繰り返す彼らだったが、会話は徐々に不穏な空気を帯びはじめ、ある衝撃の真相へと切り込んでいく。 監督を務めたのは、本作が映画監督デビューとなったティナ・サッター。実際のFBI尋問録音記録を、ほぼリアルタイムで何気ない会話や息遣い、咳払いひとつに至るまで完全再現した。『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』『ユーフォリア/EUPHORIA』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』などのシドニー・スウィーニーが主演を務めた。 公開された映像は、車で帰宅したリアリティが見知らぬ2人の男性から突然声をかけられるシーンで幕を開ける。これから世間話でも始めるかのように気さくに挨拶をする彼らだが、その手にはボイスレコーダーが。最初は状況が掴めずぎこちない挨拶を返すリアリティだが、どこにでもいるごく普通の風貌の彼らに対する警戒心はすぐに溶けたようで、聞かれるがまま質問に答えていく。しかし、次の瞬間2人がポケットから出して見せたバッジには、大きく「FBI」の文字が。彼らはある事件の捜査中だが、それはあくまで“疑い”の段階で、すべての質問は“任意”だと伝える。そして、自らが捜査対象になっているとは思いもよらない様子で「心当たりは全くありません」とおどけて返すリアリティ。気まずく不穏な空気がわずかに漂い始める中、FBI捜査官たちはなお優しい口調と笑顔でリアリティへの質問を続けていく。しかし、もうすでに彼らFBI捜査官によるリアリティへの“尋問” は始まっているのだった――。尋問の“始まり”すらも容疑者本人には気づかせない巧みなFBIの尋問テクニックはどのように張り巡らされていくのか。果たして、彼らの仕掛けるは心理戦の結末とは。 また、本作をいち早く鑑賞した各界著名人たちから絶賛コメントが到着。『ゆきゆきて、神軍』『水俣曼荼羅』などで知られる映画監督の原一男は、「こんなにも濃密なリアティの描写を観たことはかつてなかった。私の生涯ベスト3に加えたい作品だ」とコメント。そのほか、芸人のシソンヌじろう、ジャーナリストの丸山ゴンザレス、フリーアナウンサーの久米宏、映画評論家の町山智浩、ブロードキャスターのピーター・バラカンらがコメントを寄せている。 さらに本作の公開を記念して、書籍「元FBI捜査官が教える『情報を引き出す』方法」(東洋経済新報社)とのタイアップが決定。映画公式X(旧Twitter)にてフォロー&リポストキャンペーンが実施され、計5名に書籍と特別鑑賞券のセットがプレゼントされる。 【著名人コメント】 ●原一男(映画監督/『ゆきゆきて、神軍』) FBI尋問録音データを完全再現…とあるが、単なる再現ドラマだと思うと大間違い。 FBIが尋問を記録した通りにセリフを書いた、とあるから、再現という言い方に多くの人が納得するのだろう。が再現ふうな装いに惑わされてはいけない。 考えてみるがいい。生の現実の現場は何びとといえども絶対に知りようがないのだ。神以外は。 知ることができないからこそ一層知りたがるのが人の性。 どんな現場だったのだ? 現場では、どんなふうにコトが展開したんだ? だからこの作品は、神以外に知りようがない現場のリアリティを、神の領域を冒してまで見ようと試みた映画人の恐ろしくも魅惑的、冒険的、実験的な、完璧なフィクションなのである。 見ている間じゅう、全編に漲るリアリティ溢れるサスペンスに、私の胸の鼓動が激しく撃ち続けていた。 こんなにも濃密なリアティの描写を観たことはかつてなかった。 私の生涯ベスト3に加えたい作品だ。 ●安田菜津紀(メディアNPO Dialogue for People副代表/フォトジャーナリスト) 社会で起きている「おかしなこと」に憤り、行動を起こした。その行動は、違法だった――しかしその「おかしなこと」を放置したままでいいのか?「本質を見誤るな」と、この映画は静かに、けれども鋭く投げかける。 ●竹田ダニエル(ライター) 何が真実なのか? 何が正義なのか? 社会と政治の不公平な「リアリティ」を、「まさか」の手法で恐怖と共に突きつける。市民のあり方、ジャーナリズムのあり方、政府機関のあり方。我々はもっと、それらを知るべきだ。 ●丸山ゴンザレス(ジャーナリスト) 完全に準備した側と不意に追い込まれる側の言論戦は、銃弾の撃ち合いよりも緊張する。 ●町山智浩(映画評論家) 「トランプを大統領にした選挙はロシアにハッキングされていた!」その事実をリークした元空軍職員リアリティ(本名)はトランプ政権下のFBIに追及される。 現場の会話記録を再現した緊迫の83分。 正義のために戦うリアリティを支えるヒーローは、なんと『風の谷のナウシカ』! ●久米宏(フリーアナウンサー) 米国政府職員の若い女性がFBIに逮捕される 逮捕寸前から 全てが録音されていた その録音を忠実に映像化したのがこの作品だ FBIの逮捕は 道端でのこんな日常会話から始まるのか! ●ピーター・バラカン(ブロードキャスター) 機密を保護する義務があっても、大衆の知る権利は無視できない。 どちらを優先すべきか。 スノーデン氏の時も意見が激しく対立しましたが、今後も避けて通れない課題です。 ●シソンヌじろう(芸人) 何もない冒頭の30分がなんでか見ていられる不思議。 一軒の家と数名の演者と犬と猫とかたつむり。 それだけで成り立つ不思議。 作り手と演者の熱量を感じた。 ●塚越健司(城西大学助教) 観客は主人公の心のざわめきを追体験する。 劇場を出てもそのざわめきは、リーク、権力への問いとして残り続けるだろう。 ●倉持明日香(タレント) 物音や咳、目線。 次第に変わっていく笑顔の作り方までも、82分押し込められた“リアリティ”がありました。 ●デーブ・スペクター(放送プロデューサー) 100%実際の尋問記録を再現する異例の台本。 ベテランFBI捜査官の落ち着いた誘導尋問に彼女(=リアリティ)がどこまで耐えられるか! いわゆる完落ちまで行くか「オチ」の予想ができない! 似たような行為をした人がより軽い処罰になったのはなぜか。見終ってアメリカの正義感をどう見るか。 まさにリアリティ番組ではなく「リアリティ映画」!
リアルサウンド編集部