南海トラフ臨時情報「巨大地震注意」とは…地震の予知ではなく「発生確率上昇」を意味 1週間以内にM8以上の可能性が平時0.1%→0.5% 鹿児島県の最悪被害予想は?
気象庁が8日発表した南海トラフ地震の臨時情報は、地震の予知ではなく、過去の事例から「マグニチュード(М)8~9の巨大地震が起きる確率が通常より高まった」という情報だ。鹿児島地方気象台は「普段より防災意識を高め、同等かそれ以上の地震に注意してほしい」としている。 【写真】〈関連〉フェンスを突き破って落下し、県道をふさぐ岩=8日、指宿市東方
臨時情報は、専門家による調査を経て「巨大地震警戒」「巨大地震注意」「調査終了」の3段階で出される。想定震源域やその周辺でM6.8以上の地震が起きた際に専門家が召集され、M8以上は「警戒」、M7程度以上は「注意」の情報を出すべきか判断する。 地震の規模が大きいほど後発の地震を誘発する確率が上がるとされる。過去の事例から1週間以内に巨大地震が発生する確率は、「警戒」で約7%、「注意」は約0.5%。平時の0.1%と比べて高くなる。 今回の地震(М7.1)は、プレート境界で狭い領域が破壊された「一部割れ」とみられ、M8以上の地震が連動する「半割れ」より確率は低い。ただし、鹿児島大学大学院の小林励司教授(地震学)は「全体から見れば小さな断層面でも、巨大地震がいつ起きてもおかしくない現状では、引き金になりかねない」と注意を促す。 日向灘では、これまでもM7級の地震が繰り返し起こっており、鹿児島地方気象台は「1週間の警戒期間を過ぎても可能性がなくなるわけではないことに留意してほしい」としている。
小林教授は「巨大地震は何の前触れもなく起こる可能性も高い。備えができていれば、今回の情報で特別なことをする必要はない」と話した。 ◇県内の最悪予想は…死者2000人、津波は12m 鹿児島県が2014年に公表した被害予測調査によると、南海トラフ巨大地震で最も影響を与えるケースでは、震度6強の揺れと最大12メートルの津波が想定されている。 最大規模の地震が発生した場合、県内の死者数は2000人、建物の全壊・焼失1万4900戸、1週間後の避難者数は4万7200人になると想定される。 最大震度6強の揺れとなる志布志市では、地震発生から49分後に最大6.4メートルの津波が到達し、想定死者数は県内最多の680人。液状化や急傾斜地の崩壊も起きる。 想定される津波の高さが最も大きいのは、屋久島町沿岸の12メートル。地震発生から約30分後に南種子町、約40分後に屋久島に到達するとされる。8日の地震では、42分後に志布志市の志布志港、1時間40分後に西之表市熊野で最大波20センチを観測した。
南日本新聞 | 鹿児島
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