京都にリアルすぎる「ナウシカの腐海」出現…開幕した『金曜ロードショーとジブリ展』で没入体験
■ 放映のたび「バルス祭り」…名作たちの歴史を知る
ある年代以上なら、映画評論家の故・水野晴郎氏の名台詞「いやぁ、映画って本当にいいもんですね」を思い出す人も多いだろう、日本テレビ系の映画番組「金曜ロードショー」(以下金ロー)。金ローとジブリ作品の深い関係性とその軌跡を紹介する『金曜ロードショーとジブリ展』が「京都市京セラ美術館」(京都市左京区)で開催中だ。 【写真】リアルな質感が半端ない王蟲(オーム)、近くで見てみた スタジオジブリが「スタジオ開き」をした1985年から放送が始まった同番組。これまで200回以上にわたってジブリ作品を放送しており、初めて観たジブリ作品は「金ロー」だったという人も多いのではないだろうか? 金ローは、スタジオジブリの人気を確立し、幅広い年代のファンを獲得した立役者だ。その軌跡を追うことで、作品の評価を不動のものにしていった歴史を知ることができる。その代表的な作品としては、映画の興行として失敗だったものの、金ローの放送によって人気に火が付いた『となりのトトロ』。同作品は、今や知らない人はいないほど、国民的なアニメーションとして定着した。 同展プロデューサーである日本テレビの依田謙一(よだけんいち)さんは、「今この時代に(この作品を)送り出す必要があるのか? と問うことでボツになった企画も多く、作品は当時の世相を反映しています」と説明。そのため、昭和から令和の最新作まで、各年代のジブリ作品の絵コンテとともに放送された時代の背景がわかる展示になっている。 当時の世相を反映しているものの、金ローで『天空の城ラピュタ』が放送されるたび、X(旧ツイッター)ではリアルタイムにあわせ、主人公・シータとパズーの名台詞「バルス」を呟いて一体感を味わう「バルス祭り」がおこなわれるなど、新たな文化を生み出しているのもジブリの魅力だ。そんな名台詞シーンの数々が描かれた絵コンテに胸が熱くなる人も多いだろう。 また、コロナ禍中には、バブル期である1989年の作品『魔女の宅急便』が金ローで何度も放送され、主人公・キキの「落ち込んだりもしたけれど、私は元気です」の台詞が自粛期間中の私達を励ましてくれたことも記憶に新しい。 ジブリ作品には、時代を超えた普遍的な魅力があり、子どもの頃と大人になってから観るのとでは作品の見え方が変わるため、長年に渡り、金ローで同じ作品を何度も放送できる理由になっている。