3日から新紙幣発行 20年ぶり刷新 世界初3Dホログラム採用【長野県飯田下伊那】
新紙幣の発行が3日に始まる。2004年以来20年ぶりの刷新で、表面の肖像は1万円札が渋沢栄一、5千円札が津田梅子、千円札が北里柴三郎に変わる。 偽造防止の観点から約20年ごとに改刷しており、1万円の肖像の変更は40年ぶり。肖像には3D画像が回転するホログラムを世界で初めて使用した。 裏面のデザインは、1万円札が東京駅(丸の内駅舎)、5千円札が藤の花、千円札が葛飾北斎の富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」を採用している。 新紙幣発行後も旧紙幣は引き続き使用できる。長野県警は新紙幣発行に乗じた特殊詐欺に注意を呼び掛けている。 飯田下伊那地域の金融機関のうち飯田信用金庫は、新紙幣の取扱開始予定日を全店舗で4日としている。十分に流通するまでは新紙幣による支払いを制限し、全金種合わせて1日1回10枚までとする。ATMでの新紙幣の払い戻しも制限し、新旧紙幣が混在する可能性がある。自動両替機は当面、旧紙幣での両替となる。八十二銀行も飯伊の店舗での取り扱いは4日以降としている。 飯伊でも対応進め ATMやレジ 遅れや「負担」の声も 飯田下伊那地域の企業や店舗も新紙幣への対応を進めた。 飯田信用金庫は店舗内外にある全ATM61台の改修、入れ替えを行い、6月までに新紙幣への対応を完了した。 食品スーパーのキラヤでは新紙幣の発行に合わせ、人手不足に対応するため、5月から6月にかけ全店舗のレジ計59台を入れ替えた。精算の操作を買い物客がするセミセルフレジにしており、電子マネーのバーコード決済ができるなどキャッシュレス化を強化。英語、中国語、韓国語にも対応し、外国人も買い物しやすくした。 店舗運営部長の赤羽由文さんは「紙幣は新しくなるが、支払いの非現金化の割合が増加している」と現状を説明。飯田市と「ふくまるくんカード」との協働による地域通貨実証実験事業に触れ「地域共通のカードが広がることで、地域が盛り上がってほしい」と話した。 一方、対応が間に合わず「負担」感を指摘する声も聞かれた。根羽村の複合観光施設「ネバーランド」はレジを入れ替えたものの、レストランの券売機は業者待ちで更新していない。レジに約20万円、券売機に約10万円と対応への出費は少なくなく、同施設マネジャーの菊地暁さんは「お札を変えたから急に消費が増えるわけではないのに、対応は全て店が負担しなければならず、困る」と話していた。