ハリウッドで加速する“テスラ離れ” イーロン・マスクの言動が引き金に
かつて環境意識の象徴として絶大な人気を誇ったテスラが、映画の都ハリウッドで急速に支持を失っていると、米ハリウッド・レポーターが報じている。その主な要因は、同社のイーロン・マスクCEOの物議を醸す言動にあるという。 テスラは約10年前、ハリウッドで憧れのアイテムとしての地位を確立した。環境メディア協会(EMA)のデビー・レビンCEOは「テスラは電気自動車の代名詞となり、環境への配慮を示すステータスシンボルだった」と振り返る。 しかし、状況は一変している。米自動車調査会社オートパシフィックのエド・キム社長によると、カリフォルニア州におけるテスラの販売台数は今四半期だけで約25%も減少。電気自動車市場全体が拡大する中、テスラだけが縮小しているのだ。 この急激な人気低下の背景には、マスクCEOの右寄りの政治的発言や行動がある。マスクは極右的な陰謀論を支持し、人種差別的・反ユダヤ的なメッセージを増幅させ、実娘を含むトランスジェンダーの人々を軽視する発言を繰り返してきた。 ここで注目すべきは、カリフォルニア州、特にハリウッドの業界関係者の多くが民主党支持者だという点だ。リベラルな価値観が強いこの地域で、マスクの右寄りの発言は大きな反発を招いている。 調査会社ストラテジック・ビジョンの調査によると、テスラを次の購入候補として検討する消費者の数は2022年から半減し、逆にテスラを絶対に検討しないという消費者は3分の2も増加した。 「一部のテスラオーナーは怒りのあまり、リース契約を解約して車を手放している」と同社のアレクサンダー・エドワーズ社長は語る。ただし、多くの消費者は財政的な理由ですぐに車を手放すことはできない。 「本当の影響が現れるのは今後3年間だ。マスクの言動が変わらなければ、次の購入時には大量の離脱が起きるでしょう」 エドワーズはさらに、マスクの言動をドナルド・トランプ前大統領と同列視する厳しい見方を示した。 「あれほどの傲慢さがあると、最も愚かなことを言い、最も愚かな行動をとるものです。トランプとイーロンはとてもよく似ています」 専門家らは、このままではテスラが米国市場を失う可能性があると警鐘を鳴らす。ハリウッドの影響力を考えれば、この「テスラ離れ」は全米、さらには世界規模に拡大する可能性もある。一方で、テスラは10月10日(現地時間)にワーナー・ブラザーズのスタジオで自動運転タクシー「サイバーキャブ」を発表する予定だと報じられている。この新製品発表が、ハリウッドでの同社のイメージ回復につながるかどうか、業界関係者の注目を集めている。