農高生確保へ奮闘 鹿児島県の教員OBら スマート農業や就農工程表、独自の冊子に
鹿児島県の農業高校の教員OBらを中心につくる県農業教育新興会は、農高の生徒の確保に力を入れる。独自のPR冊子の作成・配布や訪問活動を2021年度から強化。22年度は入学者の増加につなげた。次世代の担い手や農業の知識を持つ行政・JA職員、教員など多様な人材育成への貢献を目指す。 農高の生徒は全国的に減少傾向にある。23年度は前年度比1164人減の6万8661人。19年度から9175人減った。 同会は、農業の教育活動の支援に向け16年に設立。21年度から農水省の農業教育高度化事業の委託を受ける。県内に11ある農高、県立農大校の特徴や魅力をまとめたオリジナル冊子を作成し、21年度は約1万5000部を県内の全215中学校に配布した。約200校への訪問活動も行った。以降も同様の活動を続ける。 冊子では、農高で学べる技術や知識、取得できる資格・免許や卒業生の進路をまとめた。ドローンといったスマート農業の情報や、中学生が農高などを通して就農を目指す場合の工程表なども掲載する。 県の統計によると県内の農高の1年生は、21年度が418人、22年度は435人に増えた。23年度は減ったが同会は「生徒全体の数が減る中、取り組みを続けて生徒数の維持を目指したい」と話す。 23年度から、より進路選択の自由度が高い小学生向けの冊子作成と配布も始めた。食料自給率や親元、雇用、独立といった就農形態、スマート農業について図表を多く使って分かりやすく解説。以前から行うそば切りなどの食農体験と合わせ、保護者を含めて食や農への意識醸成を図る。 岩元明彦会長は「担い手や農業を指導できる人材育成だけでなく、地域で農業を応援する人を増やすことにもつながる」とみる。今後は、取り組みを鹿児島から全国に広げようと意気込む。
日本農業新聞