（ブルームバーグ）： ソフトウエアメーカーの米アドビは、文章から動画を生成する人工知能（ＡＩ）モデルの構築に向けて動画コンテンツの収集を開始した。米オープンＡＩによる動画生成モデル「Sora」のデモンストレーションを受け、競合他社からの出遅れを取り戻す狙いがある。

ブルームバーグが確認した文書によると、アドビは、写真家やアーティストが参加する自社のネットワークに120ドル（約１万8000円）を提示し、歩行など日常的な動作の他、喜びや怒りといった感情を表現する人々の動画投稿を依頼している。ＡＩ学習のための素材収集が目的という。

人々の動作や感情表現を収めた100余りの短い動画と共に、手足や目など人体のシンプルな画像の投稿を依頼。また、スマートフォンやフィットネス機器など「モノとの関わり」を収めた映像も求めている。著作権を持つ素材やヌードあるいは「不快なコンテンツ」の提供に対しては警告を示している。

報酬は投稿動画１分当たり2.62ドル程度が平均だが、最高で同7.25ドル程度になる可能性もある。

アドビは過去１年間に「Photoshop」や「Illustrator」などクリエーティブアートの専門家向けソフトウエア商品に生成ＡＩ機能を搭載することに注力。テキストを使って画像やイラストを作成するツールをリリースしており、利用回数はこれまでに数十億回に及んでいる。

ただ、オープンＡＩのSora登場によって、投資家の間では、長年クリエーティブアート向けソフトウエア市場をけん引してきたアドビにとって、新たなテクノロジーが脅威になりかねないとの懸念が再燃した。

アドビの広報担当は、コメントの要請に対して、同社が動画生成機能を開発中だとする幹部による以前の発言内容を示した。

原題：Adobe Is Buying Videos for $3 Per Minute to Build AI Model (1)（抜粋）

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