叙情派エレクトロニック・ユニット“マリブー・ステート”、苦境を乗り越えて生み出した新作アルバムを発表
クリス・デイヴィスとリアム・アイヴォリーによるUKの叙情派エレクトロニック・ユニット、マリブー・ステート(Maribou State)が、ニュー・アルバム『Hallucinating Love』を2025年1月31日(金)に〈ニンジャ・チューン〉からリリースすることを発表。あわせて、長年のコラボレーターでもあるヴォーカリスト、ホーリー・ウォーカーをフィーチャーした新曲「Otherside」が公開されています。 「Otherside」は、2023年にリリースされた「Blackoak」に続くシングルで、繊細なエレクトロニクスと生楽器、そしてヴォーカルを融合させたマリブー・ステートらしいサウンドが特徴。彼らの熱心なファンを魅了するようなフックに満ちた楽曲となっています。 また、マリブ―・ステートは11月27日(水)にロンドンのIslington Assembly Hallにて特別な一夜限りの公演(ソールドアウト)を開催。彼らは、今年初めにクリス・デイヴィスが2023年11月に珍しい脳の病で大手術を受けたことを明かしており、この公演は彼らにとって、2019年にO2アカデミー・ブリクストンでのソールドアウト公演で前作『Kingdoms In Colour』ツアーを終えて以来のライヴ・パフォーマンス復帰となります。 マリブー・ステートは、2015年のデビューアルバム『Portraits』で世界的な注目を浴び、その後、2019年の『Kingdom In Colour』は、ボノボやDJコーツェらアーティストたちや音楽メディアが称賛したほか、Mixmag「Artists Of The Year」のひとつに選出、BBC 6 Musicは「Album Of The Day」に選出。クルアンビンをフィーチャーしたシングル「Feel Good」も世界的ヒット作なりました。 そんな順風満帆なキャリアを送ってきたマリブー・ステートですが、今回発表された3rdアルバム『Hallucinating Love』の制作は、彼らにとって最大の試練に。2020年は、新作に取り組むためのリセット期間になる予定でしたが、クリスは慢性的な不眠症とADHDの診断に直面し、リアムは深刻な不安障害に悩まされます。さらに、新型コロナウイルスによる当時の世界的な状況も加わり、彼らのメンタルヘルスは大きく低下。最初に作ったアルバムの原案を破棄し、創造的な流れを取り戻すために新たな作業を開始するも、2021年の終わりにはクリスが慢性的な頭痛を感じ始め、2022年春には脳の圧迫を引き起こす希少な疾患「キアリ奇形」と診断。 2023年11月、アルバムの完成が近づくと同時に、クリスは無事に手術を終えましたが、この経験を経て、10代からの友人である彼らの絆はこれまで以上に強くなりました。アルバムは『Hallucinating Love』と名付けられ、彼らの友情や大勢のオーディエンスを前に演奏することの歓喜、そして過去数年間の困難を乗り越えた勝利と達成感に満ちた作品となっています。 彼らの真骨頂である精巧で美しいアンサンブルが特徴の本作には、長年のコラボレーターであるホーリー・ウォーカーや、MOBO賞にノミネートされたアンドレヤ・トリアーナなどのゲスト・ヴォーカルに加え、ノース・ダウンズ、ガイダーらがゲスト参加。彼らは、他のアーティストとより密にコラボレートを重ね、UK各地の牧歌的な環境で行なったレコーディング・セッションから大きなインスピレーションを得たことを明かしており、昨年リリースされたシングル「Blackoak」では、友人たちで構成されたアマチュア合唱団がフィーチャーされ、彼らが滞在した古い田舎の家の階段でレコーディングが行なわれています。 重要なのは、彼ら二人がジャングルやUKガレージ、IDM、トランスといったUKのエレクトロニックミュージックの系譜を反映し、その影響と彼ら自身がその歴史の中に位置することを改めて自覚し、祝福しているという点。リアムは「これまではプロジェクトにおいて僕たちは非常に隠れた存在で、曖昧さと匿名性を楽しんでいた。でも年を重ねるにつれて、自分たちが誰であるかをもっと見せたいと思うようになったんだ。それと同時に、イギリスのダンスミュージック文化を指し示すのが自然な流れだった。それは本当に誇るべきことだからね」と語っています。 Maribou State Press shot by Rory Dewar