「ショックを受けた」全国744の自治体が消滅する可能性 『住みたい田舎』4年連続1位の豊後高田市が脱却 手厚い支援…移住者増加
■手厚い子育て・移住支援で“消滅可能性”脱却 一方、今回「消滅可能性自治体」から脱却した豊後高田市。佐々木敏夫市長は2017年に就任した際、“消滅可能性”というキーワードに強い危機感を持っていたと振り返ります。 豊後高田市 佐々木敏夫市長: 「何もしなければ消滅するという大変ショッキングな問題で、人口増の政策を最重点課題として就任時に位置づけました」 豊後高田市では他の市に先駆けて、2018年に高校生までの医療費や給食費の無償化を実現。また移住・定住の促進に向け補助金を出すなど対策に取り組んできました。 その結果、『住みたい田舎ベストランキング』で人口3万人未満の市として4年連続全部門で1位を達成。移住者からも市の支援策に助けられたと話しています。 (大阪からの移住者)「内装を工事するのに補助金が出て、看板にも出た」 (鹿児島からの移住者)「子育ての部分で手厚かったのと、移住した時に補助金関係がすごく助かった」 取り組みの結果、豊後高田市の合計特殊出生率は、大分県内の自治体が減少傾向の中で、1.51から1.75に回復。人口の転入が転出を上回る「社会増」も2023年まで10年連続で達成しました。 佐々木市長は「人口対策は1年躊躇したら10年遅れる」と話し、「1年1年を勝負と位置づけ、さらに先に進めたい」と語りました。 ■専門家「もう一度危機感高めて」 消滅可能性自治体を発表した人口戦略会議のメンバーである慶応義塾大学の樋口美雄名誉教授は、「今の状況が続いた場合、2100年には日本の人口がほぼ半数になる」として、「社会全体で人口減少問題への関心を高めていくことが重要だ」と指摘します。その上で、若者の流出を抑えるための対策が必要だといいます。 慶応義塾大学 樋口美雄名誉教授: 「10年前に消滅可能性自治体を発表し、その後、自治体の取り組みが本格化していない。もう一度人々の関心、危機感を高めたいという目的で調査した。これまでの自治体の活動をみると、東京や近くの大都市への流出を食い止める社会減対策が中心となっている。自然減対策も進めなければ国全体として人口減少の歯止めはかからない」
「昔は女性は地元に定着し、男性が流出していたが、女性の社会進出により今は女性の流出が目立つ自治体が多くなっている。例えば女性が大学進学などでその町を離れるということがあっても、再び戻りたいと思える町にしていくことが大切です。活躍できる仕事や子育て環境の整備など、行政だけでなく企業や家庭を含めた社会全体の取り組みが必要」 今回改めて浮き彫りとなった人口減少問題。国や自治体が単純に予算を投入するだけではない、住民に寄り添った対策が急がれます。
大分放送