スバルの魂「水平対向エンジン」開発続行決定!! 生き残れるか? 強みはどこに??
必ずしも環境に向いていないとしながらも、今後もつくり続ける覚悟を表明
水平対向エンジンは、(ポルシェを除いて)量産車メーカーではスバルだけがつくり続けているエンジンだ。水平対向エンジンが生き残るためには、まずスバルが生き残らなければならず、スバルが生き残るためには、カーボンニュートラル、つまり電動化は必須。産油国である米国がメインマーケットだとしても、これは避けられない。 スバルの藤貫哲郎CTOも、先の発表会で、「効率化を求めると、水平対向エンジンは必ずしも環境に向いているとはいえない。ただし、水平対向エンジンをなくしたときのスバルとは何なのか。量産車で水平対向エンジンをやっているのはスバルだけだ。バッテリーEVでもスバルらしさを目指していくが、合わせて水平対向エンジンもしっかりつくっていきたい」と発言している。水平対向エンジンを造り続けるためにも、バッテリーEV比率を上げる方策を採らざるを得ないのだろう。
スバルの強みはほかにもある!!
それにスバルには、水平対向エンジンのほかにもアイデンティティがある。スバルは、グローバル販売のうち約66%が米国という、米国で人気のあるメーカー。日本よりも多くの自動車メーカーがクルマを販売している米国で、これだけスバルが奮闘している背景には、SOA(スバルオブアメリカ)が2008年ごろから行っている「Loveキャンペーン」がある。 Loveキャンペーンとは、ユーザーの気持ち・価値観に寄り添った様々な取り組みを行うというもので、スバル車での楽しいカーライフをイメージできる画像や動画を公開したりするほか、年末のホリデーシーズンには、スバル車を購入したユーザーが選んだ慈善団体に、スバルが寄付をするという仕組みもある。この取り組みに共感した米国ユーザーによって、スバルは支えられており、こうしてスバルが、米国の人々の生活のなかに溶け込み「SUBARUは他メーカーとは違う存在だ」と認知されたことは、水平対向エンジンと同じくらい大きな、スバルのブランドアイデンティティであり、スバルの財産だ。 もちろん、コンシューマーリポートなどでクルマの完成度のよさが認知されたこともスバルが米国で売れている要因だが、それもLoveキャンペーンによってブランドイメージが向上していることが少なからず影響しているだろう。 いまスバルは、日本のテレビCMでも「安全性」をアピールする内容を提供している。家族や仲間など大事な人を乗せるクルマにとって、安全性は必要なことであり、機能的価値である一方、情緒的価値でもある。水平対向エンジンに加えて、情緒的価値というアイデンティティを手に入れたスバルは、今後も大いに国内外で活躍してくれるだろう。