漁業課題解決に知見活用 北海道で知内町と北大2研究機関が連携協定
【知内】知内町と北大大学院水産科学研究院(函館、都木靖彰院長)、北大北方生物圏フィールド科学センター(札幌、宮下和士センター長)は10日、包括連携協定を締結した。主に漁業課題の解決に向けて両研究機関の知見を活用。同町を人材育成や教育、研究の場として取り組みを進める。
町中央公民館で調印式が開かれ、西山和夫町長、都木院長、宮下センター長が協定書を交わした。宮下センター長は道内を中心に農林漁業振興に関わるさまざまな教育研究施設に触れながら「次世代に夢のある水産業、まちづくりに貢献できれば」と述べた。 協定に先立って北大との連携は進められ、今年1月には知内中の生徒向けに漁業の魅力を伝える出前授業を実施し、今年度は知内高での開催も計画。今後は海洋環境の変化や漁獲量の激減、漁業後継者問題など漁業を取り巻くさまざまな課題にも取り組んでいく。 都木院長は「海洋環境の急速な変化に漁業の側がついていけないという状況が日本全国、世界中で起きている。地域の産業をどう守り、発展させるかという総合的な課題で水産業だけの問題ではない」と指摘。地域が主体となり、課題認識の共有が大切だとし「現状を地域の皆さんと大学を含めて認識して、地域の人がやりたいということをサポートしていく」とした。 町は今年度から1988年完成の老朽化したウニ種苗生産センターを建て替えに向け、基本設計に着手。種苗の増産を図る計画で、西山町長は「これからの種苗生産を新たな段階へとステップアップさせていきたい。いろいろな知恵をいただき、北海道の最先端の種苗育成施設としたい」と期待した。
函館新聞デジタル