米メディアもイチロー引退を続々報道「格好良く去る」「野球界にとって大きな穴」
「イチロー引退」のニュースは全米を駆け巡った。マリナーズのイチローは21日、東京ドームで行われたアスレチックス戦に「9番・ライト」でスタメン出場、試合後に会見を開き引退を表明した。 東京ドームに番記者を派遣していた地元紙のシアトル・タイムズ紙は「イチロー、東京でのマリナーズの最後の試合後に引退を発表」との見出しで報じた。 記事は「彼はさよならを言うために母国に戻るのを待っていた」と切り出し「傑出した存在からスター、そしてあこがれの的、やがて日本野球史で最高の選手となり、初の殿堂入りを確実なものへと昇華させた。28シーズンにわたる輝かしいキャリアを残し、イチローは、大きな意味を持ち、人生という定義そのものだった野球から去ることになる」と伝えた。 そして、イチローの東京ドームでのラストシーンをこう描写した。 「マリナーズは4万6451人の観衆が正しくイチローを讃えることができるように配慮した。8回裏。イチローは、一人右翼の守備位置に走り、他の選手はフィールドに向かわなかった。彼らはイチローが慣れ親しんだ守備位置へ着くのを待った。この時、場内アナウンサーは、何が起きたかを理解し、このあこがれの的(のイチロー)が試合から退場することを日本語で説明した。観衆が立ち上がり歓声を上げる中、イチローはゆっくりとダグアウトに戻っていった。マリナーズの選手の一人一人が、彼と抱き合うためにダウアウトを出る間、アスレチックスの選手は立ち上がり拍手を送っていた。それは感動的な瞬間だった」 またイチローを英雄とリスペクトする菊池雄星のメジャーデビュー戦が、引退試合に重なったことを紹介。 「イチローと抱き合った菊池の頬には涙がこぼれ、ダグアウトでも涙は流れ続けた」と、菊池が号泣していた様子を伝えた。 記事は「イチローは50歳までプレーすると宣言していたが、そのゴールまで5年足りずに去ることになる。それでも45歳までプレーしたことは驚くべき偉業だ。東京で水曜日の夕方に右翼(の守備位置)へ走り出したとき、彼はメジャーリーグ史上2番目に年長の野手として開幕の先発を果たした。これは彼の自身への献身によるものだ。だが、そんな記録は、イチローのキャリアにおける偉業、数々の賞、栄誉に比べれば、序列の低いものだ」と続けた。 また記事は「彼はメジャーの野球の考え方を変えた。スピード、運動能力、そして、スタジアムをエキサイトさせる力を持ち合わせていた。彼がレフト方面に放ったすべてのゴロに安打の可能性を秘めていた。稲妻に触れられたかのような彼の肩は、故デイブ・ニーハウス氏がテレビ中継で喜びのあまり叫んだ“レーザービーム”を解き放った」と、その功績を絶賛。 メジャー最多安打記録となる262安打や、10年連続の200本安打達成、オールスター出場、ゴールドグラブ獲得、メジャー3000本安打達成などの輝かしい経歴を並べた。記事は最後に「引退前の2019年シーズンに2試合をプレーしたためイチローの殿堂入りへの時間はもう1年遅らされ、2025年まで投票されないことになる」と締めくくった。