大阪万博「主催者は万博の本質的な意義をもっとアピールするほうがよい」研究者が語る開催の意味と価値
メキシコが参加を辞退、国民の半数以上が「関心がない」…大阪万博はなんのため?
あと1年半後に迫った大阪・関西万博。しかし、建築費は当初の1.8倍となり、ほとんどのパビリオンは、まだ手つかずだ。国民の半数以上が「関心がない」と言っているデータもあり、メキシコは建築費高騰を理由に参加を辞退した。これからも辞退する国が出るかもしれないと危惧されているが、 【本当にできるの…?】開催まで1年半待ったなし!大阪万博「1100億増額も更地だらけ」驚愕の空撮写真 「かれこれ30年ほど万博を研究してきた立場から、私は今回の万博が開催されることをやはり楽しみにしています」 と言うのは、京都大学大学院教育学研究科の教授で「万博学研究会」を主宰している佐野真由子さん。 「万博は、世界中の人間の営みについて情報を一堂に集め、一つ屋根のもとに世界中の人間の活動の成果を展観し、それを学び合って、一歩でも先にみんなで前進しようという思いで始まったもの。そうした万博の意義はいまも変わらず、それを実際に見る価値はあると思います」 世界中からさまざまな情報が集まるというけれど、今やインターネットで必要な情報が入手できる時代。わざわざ見に行かなくてもいいのでは? 「これまでいくつかの万博を見てきた経験から、万博はインターネットでとる情報とはまったく違います。それは断言できます。インターネットでなんでも知ることができるという認識を覆されます」 たとえば’15年に開催されたミラノ万博でのこと。このときは「地球に食料を、生命にエネルギーを」がテーマだった。 「各国が『食』というテーマに沿って、さまざまな展示をしていましたが、中東の国々では『水』を前面に出した展示が目立ちました。砂漠の国は『食』と言われてまず何よりも問題なのは『水』なんだということがよくわかりました。 また、アルゼンチンのパビリオンでは食料を生み出す苦労が訴えられており、食事を楽しむ、栄養について考えるといった多くの国の展示とは一線を画すもので、とても印象に残りました。同じ『食』をテーマにしているのに、国によって、これだけアプローチが違ってくる。 100ヵ国以上の国が集まったところを自由に訪ね歩き、それらの国々が発信するこちらの予想を超えた情報に接しながら世界を遊覧できるイベントは、万博しかありません」