「政府」ってそもそも何? /早稲田塾講師 坂東太郎のよくわかる時事用語
「官僚」
ただし例外も。省に仕える公務員のうち官僚とよばれる一群がいます。今ならば国家公務員総合職、かつての1種、上級という試験に合格して、課長補佐ぐらいまではススッと進級するのを慣例とする高級公務員です。ある省に入って何十年も専門家として仕事をしている官僚こそ日本では「政府」の実態。その頂点はおおむね「事務次官」という役職になります。「省」を民間企業に例えれば実感ベースで「社長」の位置にあると考えてまず間違いありません。 ただここから民間企業との違いを押さえねばなりません。官僚は選挙で国民の信認を得ていないので政策の企画立案など「事務」までしかできません。日の目をみるためには「政務」つまり国会議員の了承が必要です。各省には「政務」をつかさどる政治家(国会議員が務めるのがほとんど)が事務次官の上に政務官、副大臣、国務大臣といます。そう考えると「事務次官」は「陰の社長」といった感じです。 あくまで「省」の名目上のトップは国務大臣。でも1、2年ぐらいで交代してしまいます。その点官僚はずっと仕事を続けているのでいろいろと詳しい。なので親分の「事務次官」の発言を「政府筋」といった形で紹介するケースも時々あります。 ■坂東太郎(ばんどう・たろう) 毎日新聞記者などを経て現在、早稲田塾論文科講師、日本ニュース時事能力検定協会監事、十文字学園女子大学非常勤講師を務める。著書に『マスコミの秘密』『時事問題の裏技』『ニュースの歴史学』など。【早稲田塾公式サイト】