珠洲、輪島は最大45%減 地震で路線価を「調整」
●税負担軽減 金沢国税局は1日、相続税や贈与税の算定基準となる2024年1月1日時点の路線価(1平方メートル当たり)を公表した。価格評価のタイミングは能登半島地震前だったが、国税庁は被災状況を反映させるため「調整率」を設定。石川県内で最大の減額率が適用されるのは輪島市や珠洲市の一部で、45%減とみなして税負担を軽減する。県内の平均変動率はプラス1・4%(前年プラス1・1%)で、北陸三県で唯一上昇した。 調査は1月1日午前0時時点のため、各地点の価格には同日午後4時10分に発生した地震の影響は考慮されていない。 調整率は、石川、富山、新潟の被災3県全域に適用される。珠洲、輪島両市で最大45%減、七尾、能登、穴水、内灘の4市町で最大35%減、志賀町で最大30%減などとなる。建物倒壊やインフラへの影響などを基に算定した。過去の災害では東日本大震災では最大80%減、熊本地震では同30%減に設定された。今回が7回目の適用。 石川県内の最高価格地点は金沢駅東広場通り(金沢市堀川新町)で94万円(前年90万円)だった。上昇は2年連続で、都道府県別の最高価格地点の全国順位は前年の18位から17位に上がった。 前年と比較できる県内の標準宅地4099地点(前年4123地点)のうち、上昇は2423地点(同2038地点)、横ばいは900地点(同1348地点)、下落は776地点(同737地点)だった。 富山県はマイナス0・7%で32年連続、福井県はマイナス0・5%で31年連続の下落だった。北陸新幹線沿線は新潟県がマイナス0・5%、長野県がプラス0・4%。全国平均はプラス2・3%で、10年以降最大の伸び率となった。 石川県内の5税務署管内別の最高路線価は金沢、小松、松任が上昇し、七尾と輪島は下落した。 ★路線価 毎年1月1日時点の主要道路に面した土地1平方メートル当たりの評価額。国税庁が毎年7月に発表し、相続税や贈与税の算定基準となる。国土交通省が発表する公示地価や、不動産鑑定士らによる評価額などを基に算定する。公表後の景気変動で地価が急落し、税金が過剰になるのを防ぐため、公示地価の8割程度の水準としている。 ★調整率 地価に「特定非常災害」の発生直後の状況を反映させるため、地域ごとに定めた比率。路線価に設定された数値を掛けて評価額を算出する。建物倒壊や津波被害の「直接的要因」や経済活動縮小による「経済的要因」など4要素を基に決める。相続や贈与などで取得した土地が対象となる。