「結局、前科がつきました」SNSでの誹謗中傷、被害者が本気出すとどうなる? 身元すぐ判明→賠償拒否→告訴→罰金刑
一方で、裁判を続けるのはしんどく、精神的につらい日々が続いた。そんなとき、周囲の信頼できる人たちに中傷のことを話すと、笑い飛ばしてくれた。 「あなたが悪いわけではない」。この言葉に救われた。 3人に損害賠償を求める裁判を起こした。2022年~23年にかけて判決が出た。いずれも勝訴で、1人当たり最大で96万円の賠償命令を勝ち取った。 ただ、弁護士費用などを考えると赤字だ。しかも、全額を支払ったのは3人のうち1人だけで、女性2人は体調などを理由に支払いを拒んでいる。3人が直接謝罪に訪れることもない。 そこで、菩提寺さんは支払いを拒んだ女性2人を刑事告訴。その結果、2人とも名誉毀損罪で略式起訴され、裁判所はそれぞれに罰金10万円の略式命令を出した。 ▽誹謗中傷は突然、誰にでも起きうる 菩提寺さんは訴訟などを進める中で、プロレスラーの木村花さんを思い浮かべたと語る。花さんはテレビ番組に出演後、SNS上の誹謗中傷を受け、2020年に自ら命を絶った。
しかし、誹謗中傷をした投稿者が侮辱罪で受けた「科料」の額は、わずか9千円だけ。 菩提寺さんは「木村さんと比べれば自分が勝ち取った判決は、一歩前進と言えるかもしれない」と話す。 一連の出来事を振り返り、こう形容した。「空から石が突然降ってくるのと同じ」。中傷を受けなければいけない原因は菩提寺さんにはない。意図せず災害に遭うようなものだと考えないと、やりきれない。 同じように中傷に悩む人がいるはず。そんな人に菩提寺さんは呼びかけたい。 「決して自分に非があると思わないで。自分ひとりで抱え込まず、まずは信頼できる人に相談してほしい」