ワイン1本100円被災地へ 北前船の縁で能登産ブドウ使用 小樽市・北海道ワイン
小樽市の北海道ワインは、赤ワイン1本の売り上げごとに、能登半島地震で被災した石川県穴水町へ100円を寄付する支援を始めた。対象の赤ワインは、同町にある北海道ワインの直轄農場「能登ヴィンヤード」で実ったブドウで醸造する「北前ヤマソーヴィニヨン2019」。かつて能登半島と小樽市を結んだ北前船航路にちなんで名付けた商品だ。 同社は、ワインの生産量では道内筆頭で全国有数。北前船航路を通じて両地域は古くから交流が盛んだったことから、石川県の依頼を受けて2000年3月に同農場を開設。16ヘクタールほどで、本州在来のヤマブドウと欧州原産の「カベルネ・ソーヴィニヨン」を掛け合わせたワイン用黒ブドウ「ヤマソーヴィニヨン」を中心に8品種を栽培している。 毎年、地元資本のワイナリー「能登ワイン」に出荷する一方、北海道ワインでも農場で収穫したブドウを使ったワインを商品化。19年産のブドウで醸造した赤ワイン「北前ヤマソーヴィニヨン2019」は昨年から販売している。 農場開設から数年、ブドウ栽培の陣頭指揮に当たった同社営農部の小林千洋次長は「野趣あふれる果実風味と切れの良い酸味が特長のワインで、能登特産のカキとの相性がいい」と話す。 能登半島地震では、農場の従業員と施設への被害はなかったものの、穴水町は甚大な被害に見舞われた。 同社は復興を少しでも支えたいと、今回の取り組みを考案。売れたワイン1本ごとの寄付金100円は同社が負担する。 「北前ヤマソーヴィニヨン2019」は現在、約4100本を保有。本社売店に専用コーナーを設け、来客者に購入を呼びかけている他、公式オンラインショップなどで販売する。3月末をめどに一度集計し、積み上げた金を同町に届ける予定だ。 こうした支援は珍しく、同社は「被災地にはせる温かい思いを、能登産のブドウで造った赤ワインに託してもらいたい」と話す。
日本農業新聞