出来るリーダーはやっている。チームマネジメントで絶対意識すべき「つるべの法則」とは
「他の人に任せられない」と悩み、仕事を抱え込む人が増えている。しかし、実は「任せないこと」が部下や組織のパフォーマンスを下げ、そして何より自分自身の成長を妨げる最大の要因なのだ。自分も相手もラクになる、正しい“丸投げ"とは? 「読者が選ぶビジネス書グランプリ2024 マネジメント部門賞」などを受賞し、現在10万部を超えるベストセラーになっている話題の書籍『任せるコツ』(すばる社)より、一部を抜粋・再編集して紹介する。 【写真】絶対ダメ!無能上司がやりがちな、飲みニケーションのNG行為3選
小学生の頃、私はサッカーのクラブチームに所属していました。 運動神経はさほどよくなかったのですが、時折ゴールを決めていました。それは、試合が始まる前に相手チームが集まっている側で聞き耳を立てて選手の名前を覚え、試合中に「○○君、パス」とゴール前で名前を呼んで、ボールを奪ってシュートしていたからです。 そんな、スポーツマンシップのかけらもないスタンスだったので、これといった思い入れも深い思い出もないのですが、ひとつ忘れられない法則をコーチから教えてもらいました。その後の人生の要所要所で役になったものです。 それは、「つるべの法則」と呼ばれるものです。
サッカーのコーチが教えてくれた、チーム作りの鉄則
つるべの法則の“つるべ”。 麦茶のパッケージに載っている、お茶の間で人気の鶴瓶さんのことではありません。井戸から水を汲み上げるときなどに使う滑車のことです。 右側のロープを下に引くと左が上がってきて、井戸からバケツで水を汲むことができる。その逆に右側のロープを上げると、左が下がるという仕組みです。 サッカーで攻撃に転じるとき、「みんなで一斉に前に出てはダメだ」とそのコーチはグラウンドに指で図を書いて、この法則を説明してくれました。 右のサイドバックが攻めて上がっていったら、つるべのように左は下がる。逆に左が前に出たら右は後ろで守る。両方が攻めて、守備がガラ空きになってはいけないと。 これはサッカー以外でも当てはまる戦術です。 仕事でも全員が熱くなりすぎると、冷静な判断ができなくなりミスが起こります。 以前、こんなことがありました。 私が30代前半、業界の大きな賞を受賞したこともあり、調子に乗っていた(というか勘違いしていた)頃に、とある仕事にアサインされました。 大きなプロジェクトだったこともあり、同じように勢いのある別の社員と組んで進めることになりました。 しかし、どちらも鼻息が荒く、自分の企画を実施しようと競い合いになり、結果チームは崩壊状態となってしまいました。