フェイスリフトされた「真のドライバーのために設計」されたアストンマーティン・ヴァンテージ
2月13日、東京・天王洲アイルのWarehouse TERRADA G3 buildingにてフェイスリフトされた、アストンマーティン・ヴァンテージがお披露目された。新しいルックスに加え、パフォーマンスを新たな高みへと引き上げる大幅なパワーアップを遂げた。アストンマーティンはこのニューモデルを「74年にわたる名車の歴史の中で、最もドライバーにフォーカスした最速のヴァンテージ」と表現しているが、スペックシートを見るとまさにその通りであることがわかる。 【画像】「Engineered for Real Drivers(真のドライバーのために設計)」された新しいヴァンテージ(写真32点) フェイスリフトされた新型ヴァンテージのパワートレインは徹底的にアップグレードされた4.0LV8ツインターボエンジンで、最高出力は656ps、最大トルクは800Nmと旧モデルから30%(+153ps)、15%(+115Nm)とそれぞれ大幅な向上を果たしている。V8のカムプロファイルの変更、圧縮比の最適化、大型ターボチャージャーの装着、冷却性能の向上などにより、この目覚ましいスペックが実現されたという。 このエンジンと組み合わされるのは8速ZFオートマチック・トランスミッションで後輪を駆動し、0→100㎞/h加速を3.5秒という俊足ぶりを誇り、最高速は325㎞/hに達するそうだ。加速性能の向上には、新しいローンチ・コントロール・システムとアジャスタブル・トラクション・コントロール・システムが貢献している。ESP、E-Diff、ESPスリップ・コントロール、エンジントルクを一体制御してくれる、という優れもの。 他にも多くの性能向上が図られている。例えば、フロント・ボディ・クロス・メンバーは再設計、組み込み位置が変更され、リア・サスペンション・タワー間の横方向の強度が増し、ビルシュタイン製DTXアダプティブ・ダンパーが装着された。アストンマーティンによるとこれら足回りの見直しにより「プログレッシブでタイトなボディコントロールを導入する余地を残しながら、本質的にスポーティなフィーリング」を提供することを約束している。 新型ヴァンテージにはフロント275/35、リア325/30の専用開発されたミシュラン・パイロット・スポーツ5Sタイヤを履いた21インチ鍛造ホイールが標準装備される。鋳鉄製ブレーキディスクも標準装備されるが、カーボンセラミックブレーキはオプション設定されている。なお、カーボンセラミックブレーキを装着すると制動力の向上だけでなく、バネ下重量27kg分の軽量化にも貢献するという。 外観上、最も明らかな変更はフロントマスクである。新型ヴァンテージは従前のモノよりもグリルのサイズを大きくし、DB12と同様のマトリクスLEDヘッドライトを装着。また、ワイドなリアバンパー、大型のエキゾーストエンドが新たに採用された。 インテリアではダッシュボードが一新され、10.25インチのインフォテインメント・システムを搭載。11スピーカー、390Wのオーディオシステムが標準装備され、Bowers & Wilkins製の15スピーカー、1,170Wのオーディオシステムがオプション設定される。 個人的にはDTXアダプティブ・ダンパーの進化具合が気になっている。というのも「一世代前のハードウェアと比較して、力配分の帯域幅を500%増加させた」とプレスリリースに記されているからだ。“処理速度5倍”と聞くとワクワクしてしまう。 会場内でアストンマーティン・アジア・リージョナルプレジデントのグレゴリー・アダムス氏と立ち話をしたら、既にごく一部のVVIP顧客にはお披露目しており反応は上々だという。気になるお値段は2,690万円~、とのことだが、オプションを色々選んでいくと3,000万円くらいになりそうな雰囲気だ。従前、ヴァンテージはポルシェ911のライバルとして見られてきたが、これからは911ターボにロックオンするのだろう。 デリバリー開始は今夏以降を予定している。 文:古賀貴司(自動車王国)
古賀貴司 (自動車王国)