児童虐待、5年連続で3千件超える 23年度のさいたま市 心理的虐待が最多 「引き続き状況を注視」 児童福祉司や児童心理士を増員も
埼玉県さいたま市の北部児童相談所と南部児童相談所が2023年度に対応した児童虐待件数は3121件だった。前年度から221件減少したが、19年度(3355件)から5年連続で3千件を超えた。市の担当者は「高止まりなのかどうか、現段階では判断できないので、引き続き状況を注視していきたい」としている。 児童虐待相談1万7432件 23年度の埼玉県内 乳幼児が4割占める 「家族や近隣からの通告が増」
市南部児相によると、対応内容別では子どもの目前で暴力を振るったり、暴言を浴びせたりする夫婦げんかなどの心理的虐待が1957件と最多で、身体的虐待が637件、ネグレクト(育児放棄)495件、性的虐待32件。年代別では小学生が最も多い1147件で、3歳~就学前が619件、0歳~3歳未満528件、中学生488件、高校生ほかが339件だった。 虐待の加害者は実母が1540件、実父が1413件で計約95%を占めた。通告は警察が1828件と最多で、隣人や知人が381件、学校が238件、家族、親類が155件など。子ども本人からの通報は31件で、「帰りたくない」「保護者にたたかれた」などの内容だった。一時保護所に保護した児童は318件。 こうした状況なども踏まえ市は今年4月、北部・南部児相に児童福祉司を計2人増員して86人体制に、児童心理司を計9人増やして49人体制にした。23年4月からは、児童福祉司が顧問弁護士に相談して法的助言をもらう「法律相談」の実施回数を月2回から同4回に増やしている。また今年4月から月2回、保護所を訪れて児童の話を聞く意見表明等支援員を一時保護所内に配置。市内10区のこども家庭センター拠点(各区支援課)と連携し、組織的な対応力を強化している。